片思いの彼はとんでも無い変態野郎ですがこの愛は変わらないです!
学生時代から割と一目惚れをしてきたと思う、だからこそ好きな人は絶えず途切れない状態で肩を思いをし続けて生きてきた。社会人になれば出会いはガクッと落ちる、そんなことは聞いていたけど現在進行形で宮田千冬はとある職場の男性職員に恋をしている。
「ん、どうしたの…なんか聞きたいことでも…」
「あっ!いえ、なんでもないです…」
目が合うだけでもどきっとしてしまう。同じチームで仕事をしているひとりの男性職員、藤崎隼26歳。細身ですらっとした体格が特徴、少し塩顔気質であまりお喋りじゃなく物静かな人だけどそれでも口調は穏やかだし仕事もできる、そして何よりも分け隔てなく人に優しいのだ。同僚や部下の失敗は必ずカバーしてくれるしフォローだってこちらが傷使いないような心遣いを見せてくれる。彼女自身も去年の新卒の時は彼に教わった事があるくらいだ、そんな社会人としても惚れている藤崎隼にアプローチをし続けるのだがなかなか実る気配はなく月日は1年ほど経過したのだった。
「はぁ…全くなかなか上手くいかないな〜」
「まぁ、仕事中っていうのもあるかもね〜休日に声を掛けてみたら良いんじゃん?」
ランチの時間に一緒にインドカレーに手をつける彼女は宮田千冬の同期である橘佳織、少し明るくしたセミロングヘアーの髪に女性にしては少し背の高いことが特徴的な女性である。同じチームではないが彼女とは入社後の研修チームが一緒であったため、連絡先を交換し今では社内で一番仲が良い人物となっていた。
彼女には自身の恋愛事情に関して包み隠さず話をしている、千冬が一目惚れを続けている藤崎隼との関係がなかなか進展しないことをなんとももどかしい気持ちを抱きながらいつものように注文する日替わりカレーにナンをつけて食べていった。
「もう、玉砕覚悟で告白しようかな…あ、でもさ…あの噂本当なのかな?」
「噂って?もしかして悪い噂が流れていたり…」
「いやいや違くて…あの人、女性と付き合う気がないっていうか恋人を作らないって噂があるんだ…」
話を聞くと彼が社会人1.2年目のとき彼はかなりモテていたようで同僚や先輩社員から告白を度々受けていたようだ、だが彼は全ての告白に振ったらしい。
正直なところ会社いる女性社員のレベルは低くないし何だったらかなりレベルが高い方だ。そんな状況で彼は振ったとのことで当時は彼が同性愛者説が流れたらしい…
「とりあえず当たって砕けろ、なんて千冬が片思いしている間に取られるかもよ〜?まぁ、あの人がどんな人が好みなのかはわからないけど…」
そういってナンをお代わりする彼女を横目にまた一つため息をついたのであった
・・・・・・・
「あぁ、仕事が全然終わらない…繁忙期前なのに急な案件増えすぎなんだよ、全く…」
ガタンと缶が落ち取り出し口から缶コーヒーを拾う。ブラックが飲めない為、いつものカフェラテの蓋を開けて飲み込んでいった。2年目ともなれば仕事は1年目と比べて量が増えていく。今日に限ってはやらなければいけない仕事に加えて、急遽取引先との打ち合わせが入ったのだから定時の時間を過ぎてしまい、紫色に近い夕焼けをオフィスを見る事になるとは思いもしなかった。順調に成長をしているように見えて実際、如何なのだろうと不安が募る…恋にうつつを抜かしている場合ではない……
だが、気合を入れて前を向くがどうしても身が入らず重たい足取りでオフィスへ向かうのだが、その視線が下へ向いていたことが原因なのだろう…ドンと前を歩いていた人物にぶつかり思わず声を上げてしまった。
「きゃっ!?い、つぅ……ふ、藤崎さん!?ごめんなさい、よそ見してました…」
「ん、あぁ宮田さんか。大丈夫だよ、次からは気をつけてね?」
(え…あれって……)
そういって床に落ちたスマホを拾い上げて社員証をかざし中へ入っていく。
まだ仕事が残っているのにも関わらず彼女は動き出すことをしなかった。片思いの彼と会話ができた、という喜びで固まっているわけでない…それは彼の落としたスマホのディスプレイに映っていた物に言葉を失っていたのだ。
「あれって女性用品だったよね……?」
うっすらと見えたソレ…男性社員が見ていたものは女性用のランジェリーの画像なのであったのだから