03 邂逅
半日ほど走った武装馬車がようやく停まったら、
どっかのご立派な施設の地下で全員降ろされて、
イケメンな巡回司法官のお姉さまに先導されるがまま、
狭い通路を上ったり下ったり曲がったりすると、
着いたところは、ちっちゃなキッチン備え付けの、
あんま広くないシンプルなお部屋。
待ち構えていたのは、
厳格そうな乙女騎士7人に守護された、
めっちゃゴージャスなお姉さま。
いえ、服装がド派手とかじゃなくて、
シンプルながらも素敵なご衣装の中身が、
とんでもなくご立派で気品マシマシ。
つまりは、めっちゃゴージャスで、素敵なお姉さま。
で、ご挨拶もそこそこに、
そのお姉さまにメリシェラちゃんが捕獲されて、
めちゃめちゃハグされちゃってるわけで。
「あちらにおわすはツァイシャ・エレイス・エルサニア様」
「このエルサニア王国を統治なさっている女王様……ですが……」
「誠に申し訳ない、今しばらくのわがままをお許し願いたい」
はい、心ゆくまで御存分にどうぞ。
ああいうのはメリシェラちゃん担当ですので、
こっちはこっちで詳しい事情をお聞かせ願えれば。
「薄情者ぉ……」
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このエルサニア王国を統べるは、
ご存知、ツァイシャ女王様。
この国の民のみならず、
近隣諸国からの信頼も厚い偉大なる名君。
なのですが、
この大国を治める女王様には、
毎日毎日、それはそれは大変なストレスがあるわけで。
で、ストレス発散のためお菓子作りとかを嗜まれていたのですが、
ワケあって最近、ソッチの方は自粛せざるを得なくなり。
それで溜まりに溜まったストレスのせいで、
生来の可愛いモノ好きの性癖が暴走しちゃって、
あんな感じになっちゃった、と。
つまり、俺たちが拉致監禁ちっくにお呼ばれされたのは、
ストレス解消したい女王様と、
発散させたいお付きの方々との、
合意の上での犯行でした、と。
「私は近衛騎士団、団長のベルネシア」
「女王様の暴走の件、深くお詫び申し上げる……」
いえいえ、お気になさらず。
近衛騎士さんたちも、巡回司法官さんたちも、
大変なのは一目瞭然。
なんでしたら、あのちっこいのをしばらく置いていきますので、
煮るなり焼くならぺろぺろするなり、
女王様のお望みのままに。
「やめてぇ……」