26 アルビ
久々のベルナエリの町、来て良かったです。
本当に、良い思い出が出来ましたよ。
リシュナさんの柔らかハグとか。
「リシュナさんは、嫁にするにはちょっとキャラが弱い、かも」
ちょっと、イオちゃん。
素敵に柔らかな思い出に浸っていたのに、そういうことを言っちゃいけませんよ。
『確かに、若さあふれる元気いっぱいなハグ』
『参考になった』
そういうのはいっぱい勉強してね、レミュさん。
「なんとか無事に旅を終えられそうだよ」
「これなら報告書も修正だけで済むし、捏造も隠蔽もしなくて済みそう」
はい、良かったですね、メリシェラちゃん。
でも、安易な"フラグ"立ては禁物、
旅はまだ終わってはいませんよ、気を引き締めて行きましょ。
「お前が言うなっ」
そんな感じで、
次に目指すはアルビ村。
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なんすかね、俺のイベント遭遇能力。
"フラグ"回収、早すぎにも程があろうってもんですよ。
着いたら、アルビ村、大騒ぎ。
久しぶりに会った村のみんなから、
助けてって泣きつかれちゃいました。
"竜種の大量発生"
俺がこの世界に来た場所、
"北の魔境"って呼ばれてるあの深い森に、
大量の竜が集まってるという目撃情報が届いたばかり。
しかも、俺らの到着とタイミングばっちし。
もしかして、イオちゃん、知ってた?
「レミュさんの時と同じ、竜関連はいろいろ難しい」
「ごめんなさい……」
ごめんね、いつもイオちゃんにばかり面倒掛けちゃって。
村の仮設ギルドから本部の方へ応援要請しようとしたそうなんですが、
なぜかギルドの通信魔導具が使えないそうで。
どうやら、めっちゃ強力な結界っぽいのに邪魔されてる模様。
「ナナさんのも、駄目?」
「メリシェラさんのも、ですか」
あー、俺らのもですか。
アリシエラさん製もメネルカ製も、魔導具全滅ですわ。
イオちゃんなら『転移』で応援を呼びに行けるかな?
「あれだけの数の竜種が重ね掛けした結界」
「『空間』系の技は干渉されるので、使用はとても危険」
「竜の数を減らせれば、影響が無くなるくらいにまで結界も減る、かも」
うん、分かった。
無理しないで、みんなで対処しようね。
『私が近寄って話しを聞くのがベスト』
『次点は、殲滅』
えーと、中間は無いのね、レミュさん。
とりあえず、近寄らなきゃなんも分からんってことだよね。
でも、ひとりで向かっちゃダメだよ。
こういう時こそ、家族みんなで頑張ろうよ。
村の人たちが、ベルナエリに助けを呼びに馬を走らせようとしてるけど、
応援ったって、ねえ……
なんせ見たことないくらいの規模の大量の竜ってことで、
ちょっとやそっとの戦力じゃどうこう出来ないですし、
下手に竜たちを刺激したら、国がどうこうなっちゃいますし。
で、なんとかしてって頼まれましたよ、俺。
なんせここって辺境の村ですし、
すぐ動ける冒険者は俺たちくらい。
うん、やるしかないってか。
世話になった村のみんなを助けなきゃ。
もちろん、うちの家族の総力で、ね。




