25 アレノマ
えーと、竜の里の方には、すでにレミュさんが話しをつけてきてくれていたそうで、
とりあえず、俺への全面報復は様子見、当分は無しだそうですよ。
ってか、いつの間に里帰りしてたんですか。
『『転移』でサクッと』
レミュさんも『転移』が使えたんですね。
『竜族はカッコ良く飛ぶことに命掛けてるんで、余程のことがない限り、移動に『転移』は使わない』
『私はそういうのは拘らないから、便利が一番』
現代っ子なんですね。
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そうこうしてるうちに、アレノマ王国に到着。
メリシェラちゃんは、メネルカ魔導国に里帰りしたい?
「寄らないって」
「報告書のアレコレとアンタの実状の乖離、チクチク突っつかれたくないし」
「あー、でも、女王様にはご挨拶しておいた方が良いかも……」
それじゃ、サクッとご挨拶に行ってくるね。
レミュさんは、お留守番でいいかな。
ナナさんはどうします?
「メネルカ魔導国は、一般の冒険者にはちょっと敷居が高いの」
「私はご遠慮させてもらおうかしら」
はい、それじゃ、メリシェラちゃんは、アポだけお願いね。
てな感じで、イオちゃん『転移』で、フィルミオラ女王様にご挨拶。
おみやげの『ペンネッタ銘菓詰め合わせ』も喜んでもらえたし、
イケてる家長、普通に出来てるよね、俺。
「普通ってなんだろね、ナナさん」
「この世界の誰しもが、普通であり特別なのですよ、メリシェラさん」
うん、いい感じなこと、聞いちゃった。
今度、みんなに披露して自慢しよ。
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アレノマ王国を北上。
懐かしのベルナエリの町に到着。
ナナさん、町の人たちから大歓迎。
ホント、愛されてるよね。
嫁だくさんな俺への、町の人たちのまなざしが……
ホント、俺らしいよね。
ーーー
師匠さんの墓参り、
俺もきちんと報告しました。
ナナさんは、俺の人生に絶対必要な人だから、この先何があっても、離れたりしませんよ。
ヒモはヒモでも二度と切れない、嫌になるくらいにしつこいヒモなんで。
「ありがとうございます、アマツさん」
「あの人に家族を紹介出来て、嬉しいです」
はい、俺もご挨拶出来て嬉しいです。
家族が増えたら、また来ましょうね。
「何人、嫁を増やす気なんだよ……」
いや、メリシェラちゃん、
せっかくの良いシーンなのに、誤解しないでよね。
「お墓の前では、みんな仲良く」
「でしょ、ナナ姉」
「これで良いのですよ、イオちゃん」
「あの人には、ありのままの家族を見てもらいたいから」
『人族流のしんみりお墓参り』
『こんな感じで良いのかな』
こんな感じで良いのですよ、レミュさん。
これがうちの自慢の家族ですから。




