24 チカラ
ロイさんの村でのんびりさせてもらってから、リグラルト王国を北上。
たまーに賊やら魔物やらが襲ってきますけど、
なんせ過剰戦力だからね、この幌馬車。
俺、マジで見てるだけ。
そういえば、レミュさんも、あまり闘いたくないタイプなのかな。
『か弱い嫁は、夫の陰で震えてるのが役割り』
か弱い……
『魔物とかが鬱陶しいなら、私が気配を解放すれば寄って来なくなる』
『でもそれをやっちゃうと、近くにいる人族はめっちゃしんどいと思うので、自重』
はい、自重、ありがとね。
夫婦ゲンカしないように、俺も自重するね、いろいろと。
『本気で闘うのを遠慮してるようだけど、"竜のチカラ"を解放すればアマツさんも激強』
『天下、取っちゃう?』
取りませんって。
ってか、解放のやり方なんて分からんし。
『おだやかな心を持ちながら激しい怒りによって目覚めれば良し』
無理っす、俺、モブ以下の一般人だし。
ってことで、"竜のチカラ"とやらは今すぐどうこうしない方向で。
むしろ、この先もどうこうしない方向で。
「無欲なんだか欲望丸出しなんだか、よく分かんないよね、この人」
夜は自重しないんで、俺のことは"夜の帝王"って呼んでね、メリシェラちゃん。
「じゃあ、二つ名はそれに決定したって国に報告する」
ごめんなさい、調子に乗っちゃいました。
『確かに、夜は大胆』
『さすが人族、ソッチ方面に貪欲』
えーと、竜族って淡白なんですか、レミュさん。
『個体総数減少問題に歯止めがかからず』
『問題は、竜族がプライド高すぎなことだと思う』
『もっと開放的にならないと、絶滅危惧』
もしかして、竜のお偉い人たちは純血とかにこだわってるんじゃないかな。
『実は里長から言われてた』
『多種族との交際禁止』
『もし私になにか間違いがあったら、里の総力を挙げて報復』
……マジか。




