02 護送
はい、捕まりました。
ただ今、巡回司法省の武装馬車で、
家族全員、護送されております。
俺らを捕縛するための巡回司法省の部隊が接近中っていう事前情報が、
昨日の夕食後、イオちゃんから突然もたらされまして。
到着予定が早朝とのことで、あまり暴れるとご近所迷惑かなって、
みんなで相談して、おとなしく捕まることにしたのですよ。
逃げるのは簡単だったけど、捕まる理由も知りたかったし。
「ちょっとアンタ、何やらかしたのさっ」
いや、別になんもやらかしてないよ。
メリシェラちゃんこそ、メネルカ魔導国関連で心当たり無い?
ってか、逮捕の時、よく我慢したね、イオちゃん。
「とりあえず様子見」
「ご命令とあらば、全力で実力行使」
あー、引き続き、様子見でお願い。
さすがに巡回司法省を敵に回しちゃったら、
あの町どころか、この国にもいられなくなっちゃうし。
ナナさんは、何か心当たりあります?
「特に無いけど……」
「税金も滞納していないし、ご近所さんとも仲良しですし」
「やはり、メリシェラさんがちっちゃ可愛いすぎたのかしら」
あー、やっぱり。
可愛いのはしょうがないですけど、ちっちゃすぎますもんね、コレ。
「ちっちゃい言うなっ」
「そりゃ、ギルドカードで年齢確認されると、みんなびっくりするけどさ」
「ってか、そもそもカードを偽装してたのがバレたんじゃないの」
あーなるほど、そっちですか。
イオちゃんとメリシェラちゃんのギルドカードって、めっちゃ偽装隠蔽してるもんね。
ごめんね、ナナさん。
巻き込んじゃって。
「せっかくの家族揃っての馬車の旅」
「のんびり楽しんじゃいましょ」
さすがはナナさん、オトナの余裕。
でも出来れば、完全目隠し状態の武装馬車じゃなくて、
うちの幌馬車でやりたかったよね、家族旅行。
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そんな感じのアレな家族旅行、
イオちゃんレーダーによれば、
向かっているのはどうやら、
エルサニア王都。




