12 修行
あれから、それなりにのんびり暮らせておりますよ、俺は。
みんなは、なんだか忙しそうに、あちこち飛び回ってますね。
ナナさんは、お料理修行と冒険者復帰の修行に大忙し。
各家々のお料理自慢たちに、武者修行の道場破りちっくにご訪問。
元々旅好きなので、地方料理も大好きで、
レパートリーが増えていくのが楽しいみたい。
魔導銃使いとしての勘を取り戻すための修行の方も余念無し。
アランさんの安全闘技場にいそいそとお出かけしての銃の鍛錬。
狙撃の腕前は、現役武闘派乙女たちが目を見張るほどだとか。
「ブランクの長さのせいで、実戦経験の勘が、なかなか取り戻せないの」
えーと、実戦、しちゃうんですか。
「イオちゃん次第、ですね」
「あまり迷惑を掛けたくはないけど、良い感じの狩り場に連れて行ってもらえると嬉しいかな」
狩り場で実戦……
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メリシェラちゃんは、時々、ヴェルネッサさんのお手伝いにお呼ばれされております。
ヒメ湖の精霊さんのお世話だとか。
シナギさんの恋人さんの、
ヒメルミネアさんという、
凄く素敵な精霊のお姉さんですって。
「らぶらぶで甘々にも限度があるっての」
「もう勘弁してほしいよぅ」
どうやら行くたびに、ヒメルミネアさんのシナギさんへの甘えっぷりを見せつけられている模様。
そして、シナギさんとヴェルネッサさんの、大人同士のしっとり雰囲気にもタジタジの模様。
まあ、シナギさんの伊達男っぷりは、男衆随一ですからねえ。
メリシェラちゃんも、あの漢気に惚れちゃってもいいんだよ。
「ヒメ湖の甘々結界に取り込まれたくないし」
「ってか、シナギさんご自身は奥さまのミナモさんひと筋だってば」
確かに、幼なじみのミナモさんとは以心伝心で通じ合ってるよね。
お子ちゃま娘が入り込む隙は無いかも。
「ヴェルネッサ様もヒメルミネアさんも、安心しきってるっていうか、頼りきってるっていうか」
「シナギさんの、あの静かな男らしさこそが、大人の魅力なんだね」
俺も見習わなきゃね。
「無理無理、アンタはもう手遅れだって」
「ってか、シナギさんの方が歳下なのにここまで差を付けられてる時点で、絶対に追いつけないっての」
ぐぬぅ、メリシェラちゃんから年齢ネタでイジられるとは、
我ながら修行が足りん……




