風の手紙は、金色の薫り
風がくれた手紙は
秋からの便り
爽やかな朝に
開けた窓から
かすかに甘い薫り
それは琥珀色の
小さな小さな花
秋の訪れを
澄んだ風にのせて
はるか遠くまで
金木犀は風に薫って
それはふんわりとした
わた菓子にも似て
いつかどこかで
出逢ったような
懐かしさとともに
ほのかに甘く
そして切なく風に舞う
初恋のように
夏の余韻を感じつつ
慌ただしく過ぎた
九月のカレンダー
気付けばもう
次へとめくる日が来て
駅へと急ぐ坂道に
いつしか咲いた
金色に輝く星の花
金木犀は風に薫って
たとえ離れていても
心にやさしさを届けて
咲かせる花は小さくても
内に秘めた想いが
溢れ出すように
あたたかな陽射しに
照らされたこの小径を
吹きゆく風が
やわらかな未来へ
道案内をするように
その花に
実はつかないけれど
やさしさや安らぎ
目には見えないものを
届けてくれる
せわしく通り過ぎる
日々に忘れかけている
大切なものを
たとえ一つひとつは
小さな花だとしても
忘れられない薫りを
はるか遠くまで
言の葉に
色や形はないけれど
そこにあるのは
誰かが綴った文字
幾度も書き直しながら
伝えたい何かが
込められた文字
手紙の封を開くとき
メッセージが画面に映るとき
溢れ出す何かが
きっとあるように
たとえ一つひとつは
小さな葉だとしても
心から心へと
はるか遠くまで
風がくれた手紙は
秋からの便り
金色の薫りに
包まれながら
窓辺に溢れる光と
想いを言の葉に込めて
風にそよいで、君のもとまで
金木犀は、遠くまで届く薫りから「千里香」とも呼ばれます。花言葉は、「謙虚」、「初恋」、「真実の愛」、「交流」などです。お読みいただき、ありがとうございます。