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※魔の森へ

神殿を辞した勇者ライハルトは先ずは王都に散っていた仲間達を呼び集めた。

そして手分けして魔の森に入る為の準備を進め、万全の状態で魔の森の入り口に勇者パーティーで立った。


「最終確認だが、俺達の目的は現在魔の森で起きている異変の調査だ。当面はゆっくりガーリー王国方面。南東部に向かって移動しながら原因を探る。質問はあるか?」

「一ついいか?」

「なんだアイン?」


勇者ライハルトが仲間を見回すと、革の胸当て等をした軽装の茶髪の青年。斥候のアインが手をあげた。


「お前としてはその異変をどんなものだと想定しているんだ?」

「異変についてか。今回は事前情報がないからはっきりとしたことは言えないが、俺としては認識を阻害する結界が張られていることを想定している。もっともそれは巫女様の千里眼を弾いている理由の方であって、その見えない範囲で何が起きているかはさすがに予想がつかないが」


ライハルトはアインにそう自分の考えを話した。


「それなら私達はその結界?が張られている痕跡を探せば良いのかしら?」

「ああ、俺としてはそう考えている」


すると今度はローブ姿の杖を持った赤髪の女性。魔法使いのローザがライハルトにそう自分達が探すものを確認した。


「だがこれはあくまでも俺の予想だ。基本的にどんな小さな異変でも調べる必要がある。みんなも何か気になることを見つけたらすぐに共有してくれ」

「わかった」「了解した」「わかったわ」「わかりました」 


ライハルトの言葉に仲間達四人は頷いた。


「それでは出発だ」



ライハルト達の国からガーリー王国までは魔の森を抜ける場合、ある程度の魔物に対象出来るパーティーの場合なら二十日。強敵。森のテリトリーを仕切るボスを倒せる強さがあるベテランのパーティーなら十五日。

勇者であるライハルト達なら五日もあれば森を踏破することは出来る。

もっともそれはあくまでも踏破。今回の目的はただ通り抜けるのではなく、森で起きている異変を調査することにある。

なので飲み水の確保や休めるポイントの確保は必須だ。

その為ライハルト達は水場を拠点にしながら調査を進めた。


一日目、二日目前半とライハルト達勇者パーティーは森の中を調べて行くが、少なくともストーリア聖国の周辺の魔の森では異変を発見することは出来なかった。

その為ライハルト達は少し森を進むペースをあげた。

すると二日目後半辺りから僅かな異変を肌で感じられるところまで来れた。


「魔物の数が増えてきているな」

「そうだな。進めば進むほど増えていっている」


斥候のアインの言葉に、鉄の胸当てや籠手をはめた茶髪の青年。剣士のガイが頷いた。


「向こうで何かあったのでしょうか?」

「その何かが異変なのかもしれないわね」


白い修道服の銀髪の少女。シスターのソアラの疑問にローザがそう答えた。


「魔物達の様子的に何かから逃げている感じだな。ならローザの言うとおりその可能性は高いだろう」

「つまり、この魔物達の流れを遡ればいいってことか?」

「これを異変の手がかりとするならそうするべきだろう。俺はそうしようと思うが、反対意見はあるか?」 


ライハルトが仲間達に確認するが、仲間達は誰も反対することはなかった。


「ならこの流れを辿ってみよう」


ライハルト達勇者パーティーは魔物の多い方を選択して移動を再開した。

そして魔物が多い方多い方に進んで行く。 

すると段々魔物以外のおかしな点もちらほら見かけるようになってきた。

それに最初に気がついたのはローザだった。


「あら、こんなところに魔力茸が!」


魔の森を進んでいると何かを見つけたローザが立ち止まり屈み込んだ。


「ローザ、採取は帰りにしろ。今は荷物を増やしている場合じゃないんだぞ」

「ああ、ごめんなさい。珍しかったからつい」


ローザはガイに謝ると魔力茸から手を話した。


「魔力茸か。たしか魔法薬の材料になるんだったな?」

「ええ。魔力の回復手段にもなるから私達魔法使いにとっては重要な資源なの」

「なら少しぐらいは採取しておくか?魔物が増えていく方に移動しているんだ。回復手段は多いにこしたことはないだろう」

「それなら反対はしないが、魔力を一番使うローザが持って移動しろよな」

「わかったわ。私が一番使うのにガイ達に持たせたりはしないわよ。ただライハルトとソアラ。あなた達二人も少し持っていた方が良いわよ」

「そうですね。では私もいくつか持っておきます」

「ああ、わかった」


ローザの提案に頷くと、ソアラやライハルトも魔力茸の採取を始めた。



「・・・おかしいわね」

「ローザさん、どうかしたんですか?」


そして少し経つとローザが難しい顔で立ち止まった。


「魔力茸が多すぎるのよ」

「多すぎる?」

「どういう意味だローザ?」


すると他のパーティーメンバーも立ち止まった。


「最初に言ったけど、魔力茸って珍しいものなのよ。それがこんなにあるなんて…」


ローザは自分の鞄に詰まっている魔力茸を見て顔をしかめた。


「回復手段が豊富で良いことじゃないか。魔力茸が多いと何か問題でもあるのか?」

「直接の問題はないわ。貴方の言うとおり回復手段が豊富なのも良い」

「なら」

「でも珍しいものが大量にあることは確かな異変なの。魔力茸が珍しいのは生育に大量の魔力が必要だからなのよ。それなのにこれだけ魔力茸があるってことは、この魔の森の何処かに魔力茸を大量発生させるだけの大量の魔力があるってことなのよ!」

「「「「・・・」」」」


ローザのその説明に、ライハルト達は難しい顔をした。


「つまりこの魔力茸も魔物達と同じ異変の影響を受けているってことか?」 

「私はそう思うわ。一つの魔力茸の生育に必要な魔力量はざっと見積もって下級魔法使い十人分。それがこれだけあるってことは、どう少なく見積もっても下級魔法使い数百人分の魔力がこの辺りまで拡散しているってことになるわ。ならここより上流にある魔力は予想だけでもそれのさらに数十倍から数百倍。上級の魔法使い数百人分に匹敵するわ」

「それって具体的にはどんなものなんだ?」

「あんたに分かりやすく説明するならそこにいる勇者であるライハルトの魔力二十人分以上ってことよ」

「「げっ!」」


ローザの説明にアインもガイも顔をしかめた。

ソアラなど顔を蒼白にして身体を振るわせている。


「・・・退くべきだと思うか、ローザ?」

「私としてはそちらを進めたいわ。貴方を二十人以上同時に相手にするなんて私達には不可能だわ。でも…」

「でも?」

「もしもその魔力が何かに使用されようとしているなら今のうちに止めないとまずいわ。それが攻撃魔法として発動しようものなら国なんて簡単に吹き飛ぶわよ!」

「「「「!!」」」」


ローザの最悪の予想に誰もが絶句した。


 



      

          対象の危険度上昇

  モンストゥル インファスに迎撃を命令


       


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