スライムで力を蓄える
【ああ!異世界召喚で思い出しました!】
異世界召喚で思い出す?異世界関係で何かあったのか?
【はい。先程は非正規の異世界召喚の召喚対象について話しましたが、今この世界にはもう一つ。異世界から迷い混んだ者達がいるのです】
迷い混んだ?それは異世界召喚で召喚されたのとは別口なのか?
【はい。迷い混んだ者達は非正規の異世界召喚により世界間の壁が薄くなった結果、この世界に来てしまった者達です】
世界間の壁?それが薄くなると異世界人がこの世界に来るのか?
【来ると言うか来てしまう。あるいはズレ込んでしまうと言いますか、ともかく非正規な異世界召喚を多発するとイレギュラーが起きやすくなります】
へぇー、そうなのか。
そういえばその異世界召喚された連中や来てしまった連中に対する俺達の立ち位置はどうなるんだ?
この世界の連中みたいに会ったら即殺しにかかるような関係なのか?
【そうですね、召喚された人間は騙されて利用されていますから、さっくり殺してください。殺した後は私達で魂を回収し、いろいろと調整してから元の世界に送り返しますので】
わかった。
簡単に殺せと言われた時はどうかと思ったが、ちゃんと送還なんかのアフターケアはするみたいだな。それならさっくり殺して返してやるのが召喚された奴の為か。
【問題はイレギュラーの方ですね。こちらは召喚指定されたものが来るわけではないので、召喚された者達と違って容易に送還することが出来ません】
そうなのか?
【はい。召喚された者達は召喚された順路を追えば良いのですが、偶発的に来た者達は順路の痕跡を見つけることさえ困難なのです。なので即殺してももて余してしまいます。こちらのパターンはいっそ味方に引き入れて復讐させるのが良いかもしれません。向こうも被害者なわけですし】
なるほど。
同じこの世界の連中の被害にあった者同士。それはありだな。
【まあ、味方に出来ないパターンの方が多いでしょうが…】
そうなのか?
【はい。そもそもランダムに来てしまうので意志疎通が出来る相手が来ること自体稀ですし、元々意志疎通が出来る相手でも突然変異していたり凶暴化していることも多々ありますから】
ああ、召喚の方でも突然変異を起こす可能性があるんだものな。イレギュラーな方ならさらに起こりそうだよな。
【ええ。なので話が通じなさそうならそちらも即殺してください】
わかった。とりあえず遭遇した相手はどれも殺すことを前提に行動することにする。
【それがよろしいでしょう】
「シャ、シャー?」
とりあえず用事は終わったが、もう帰るべきか?
でもあんまり出掛けたような気がしないんだよなぁ…。
なんせほとんどキノコ型に抱えられてただけだしな。村に来てからもダンジョンコアを落とした後はスライムコンベアを見ながらメッセージと会話していただけだし。
【そうですね。もう帰っても構いません。ですがせっかくですので帰る前にスライムでも食べたらいかがです】
はい?何で帰る前にスライムを食べるんだ?
脈絡のないメッセージに俺は頭を傾けた。
【たんなる進化の為の経験値稼ぎです。別段帰ってからでも問題ありませんが、水の中よりは外での食事の方が良いでしょう?】
それはまあ、いちいち水と一緒に食事はしたくないが…。
口を開ける度に水が口に入ることを想像し、それはないなと思った。
だけど何でスライム押し?イノシシとかハンターホークじゃダメなのか?あっちは普通に肉だろうに?
何で肉があるのにスライムを勧めてくるんだ?
【肉ですか?そちらは苗床になって食べるところは残っていませんよ。それに、ハンターホーク等だと今のあなたでは経験値が余ります】
えっ!?肉は残って無いのか?というか、経験値が余る?
【はい。まだ一回も進化していませんから余剰経験値を利用する術がありません。これが二、三回進化した後なら余剰分の経験値をある程度持ち越せるのですが】
へぇー、そんな仕様なのか。
・・・そういえば経験値稼ぎなのに倒すじゃなくて食べるなのか?
【はい。スライムなら倒す必要がありませんから。それとあなたの場合は食べればエーテリアルに変換出来ますから、食べた方が経験値。進化のエネルギー確保には適しています】
なるほど。そういえば俺の方でもエーテリアルは生み出せるんだったな。
なら食べた方が良いだろうな。
だけどなぁ。
プルン♪ プルン♪ プルン♪
俺が隣を見てみると、そこには列を作っているスライム達がいた。
なんだか楽しそうにプルプル揺れている。
これはあれか、俺に食べられるの待ちの列なのか?
【ですね。美味しく食べてあげてください。まだ一度も進化していない今なら最下級のスライム達でもSPがついてお得ですよ】
お得ねぇ…。ある意味身内を食べるのってどうなんだろな?
【別に農家は野菜を食べますし、果樹園でも果物を食べます。牧場の動物達も食べられますし、魚の養殖場の魚も食べられます。人間は身内でも普通に食べるものですよ】
ああ、いや、まあ、そう言われるとそうなんだがな。
確かにそれはそうなんだよな。野菜や果物の成長を喜んでいようが、動物や魚を愛でようが普通に食べるものなんだよなぁ。
プルン♪ プルン♪ プルン♪
・・・愛着はないが可愛くはあるんだよなぁ。
けどこれだけ食べてアピールされているんだから食べない方が失礼か?
・・・まあ、仔牛や仔豚よりはまだ罪悪感は少ないか。
せめて美味しく食べてやれると良いな。吐かないように根性を入れて食べよう。
「シャー!」
それではいただきます!
【どうぞ召し上がれ】
「シャ」
まずはぺろり。
さすがにいきなりかぶりつく勇気はなかったので、一番近くにいたスライムの身体を裂けた舌で舐めてみる。
これで不味ければ一気呑みにしないとな。
「シャ!シャー!?シャーシャ~♪」
こっ、これは!?甘ーい~♪
俺は思わず叫び声を上げてしまった。
不味い覚悟をしていたが、このスライム。不味いどころかとんでもなく甘くて美味しい!
何でスライムがこんなに甘いんだ!スライムって水系の魔物だよな?何処からこんな甘さの成分が出てくるんだ?
ペロペロ。
もう一度舐めてみるが、やっぱり甘い。
これは砂糖系じゃなくて果物系の甘さだな。しかもリアルフルーツではなくジュース系。
「シャー?」
この世界のスライムの体液って、ジュースに近い成分をしているのか?
【いえ、そんなことはありませんよ。スライムが甘いのは、あなたの舌がそう感じているだけです】
そうなのか?
【はい】
そうか。
蛇の味覚だから甘く感じているのか?
・・・まあ、美味しく食べてやれるのだから良いか。
俺は俺の糧になるスライム達に感謝しながらゆっくりスライム達を舐め取っていった。
驚いたことにどのスライムも僅かに味が違い、飽きることなく完食することが出来た。
【スライムを二十体補食しました】
【経験値を40獲得しました】
【称号[転生せし者]により、追加で経験値を20獲得しました】
【SPを20獲得しました】
【称号[転生せし者]により、追加でSPを20獲得しました】
【特殊能力[生物進化の道]により進化に必要な経験値が低下しました】
【ダンジョンスネークの最大levelに到達しました】
【進化が可能になりました】
そしてスライム達を食べ終わると、今までとは違うメッセージがいくつも俺の視界に浮かんできた。
「シャー?」
なんだこれ?
【お知らせのメッセージです。転生前のあなたからの要望で、あなたに関する何かがあった場合自動的に通知がくるようになっています。今回は進化可能になったお知らせですね】
このメッセージの形式、絶対にゲームを参考にしてるだろ。
・・・まあ、良いか。とりあえず目的は果たせたことだし。




