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第二十五階層にフロアボス現る。
その報は探索者ギルドを駆け巡りました。
私たちはスカディを倒した後、念の為に第二十五階層を探索して第二十六階層への階段を発見し、これをもって帰還しました。
スカディを倒した後は普通に座標遷移できましたので、第九階層に転移してから、地上に戻ったのです。
そしてこの大騒ぎですよ。
長らくフロアボスなどいないと思われてきたトバイシーハーゲンのダンジョンに、フロアボスがいたこと。
そしてその階層の深さから最低でも第五十階層まではあると考えられること。
深いダンジョンというのは、それだけ旨味のあるダンジョンでもあります。
深ければ深いほど宝箱から出てくるアイテムは質が跳ね上がりますし、魔物を解体して得られる換金部位の値段も釣り上がっていくのです。
……しかし難易度の高さが問題になるでしょうね。
スカディの強さはレダさんたちから探索者ギルドのギルドマスターに伝えられました。
曰く、「自分たちの手には負えなかった」「サトミたちがいなければ全滅していた」というもので、トップを走るAランク探索者がこれではマズいとフロアボスの内容については箝口令が敷かれました。
だから具体的にフロアボスがどんな奴なのか、どれくらい強かったのかについては「ギルドマスターから口止めされている」と答えて逃げています。
そして第二十一階層から第二十四階層までの地図の作成に貢献したことが認められ、私たちも遂にAランク探索者に昇格したのです。
登録から最短記録を更新し続けてきた私たちも、遂にひとつのゴールに到達してしまった気分になろうというものです。
「結局、あのデタラメな武器は何だったんだい?」
解散する際、さすがのレダさんも聞かずにはいられなかったようですが、私はこう答えました。
「秘密です」
ストックここまで。
ここで一旦完結にしようかと思います。
気まぐれに再開する可能性もなくはないですが、申し訳ないですが期待しないでください。
「スカディのレアドロップが気になる」から始まる反則兵器なしでガチにスカディを倒すまでレベリングする続きを書いていましたが、結局レベルを上げてゴリ押しになる以外に面白い倒し方を思いつかなかったためボツに。
エステルの章、リナリーのスキルや能力値に関する話、各所からの追っ手、スタンピードのその後、など書くネタはまだまだありましたが、……。
サトミが無敵なため全編を通して緊張感がなかったのは、ダンジョン探索と相性が悪かったかもしれないと今更ながらに反省。
仲間の育成と命がけの探索、宝箱の発見など、その辺りに注力すべきだったのかな、と。
ともあれこの反省も次に活かしていこうと思います。
ここまで読んでくれた読者の方々には感謝を。
また別の作品でお会いできれば幸いです。




