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異世界デバッガのベリーイージー冒険譚  作者: イ尹口欠
レダ・サイベリウム

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 受付嬢が大量の魔物の素材を買い取り、嬉しい悲鳴を上げています。

 もちろん大半は借家の地下室でこっそりドロップ集めしたものではありますが……それだけに状態・品質のいいものを卸すことができています。


 ちなみに私たちの今の探索者ランクはDランクでして、過去最速ペースでのランクアップを重ねているそうです。

 第十五階層に到達したことでCランクへの昇格もギルド上層部で検討されるそうですが、ハイペースすぎるのでどうなるか分からないとか。

 まあ第二十階層に到達したら文句のつけようもなくなるはずなので、このペースで行けばCランクは確実でしょう。


「ただいまー」


「…………」


 借家に帰ると、シロガネがリビングのソファでボーっとしていました。

 掃除は完璧に終え、食事の下ごしらえにはまだ早い時間ですから、休憩するのは別に構わないのですが。

 何か趣味になるようなものがないと退屈させてしまいますね。


 手芸道具とか用意してあげれば、暇つぶしになるかな?


 とはいえ手芸道具なんて『闘争のロストグリモア』には登場しませんから、街の市場で揃えなければなりません。

 買い物は明日の朝にしましょう。


 いつも通り地下室に行くと、ヒスイがゴロゴロしていました。

 コイツも退屈してそうですね……。


 地下室はヒスイのテリトリーだとシロガネは認識しているようで、降りてくることはありません。

 というか地下室、床は言わずもがな壁や天井までもピカピカなのですが……ヒスイはどれだけ汚れを食べたのでしょうか。


「さて、今日はどうしましょうか? 第十五階層のドロップはダンジョンにいる間に一通り試してしまいましたけど……」


「〈フュージョン・ツインモンスターズ〉で新しいドロップを追求しましょう」


「マジですか。ていうかリナリー、これ禁呪扱いだって言ってませんでしたっけ?」


「禁呪とは人倫にもとるものや犯罪に利用されるために、習得が禁止され国で管理されるようになった魔術のことです。国に知られたら禁呪指定されてスクロールを取り上げられることは確実でしょうけど、今は私たちしか知らないのでまだ禁呪ではないですし、使っても何のお咎めもありませんよ」


 リナリーがいい笑顔で言いました。

 それでいいんですかね?


「シェイド辺りを試さないか? 黒晶石より便利なものがドロップしたら、ギルマ様の戦力アップになるだろう」


「あら、それはいいわね。シェイドなら合体させても魔法の武器で一撃でしょうし、何がドロップするのか興味あるわ」


 エステルとギルマの提案でシェイドを合体させて倒すことになりました。

 まあ確かに黒晶石は便利ですからね。

 それの上位版である大きな黒晶石が通常ドロップするようになったりしたら、狩る価値はあります。


「はい、ではシェイドに決まりです。前衛は魔法の武器を準備してください。後衛は念の為に使う魔術を決めておくように」


 ではポチっとな。

 シェイド2体を生成して、〈フュージョン・ツインモンスターズ〉を唱えます。

 大きくなったシェイドにオブジェクト探査を使いつつ、ミスリルの剣を構えます。


「……ええと名前はアークシェイドですね。ってうわ、結構レベルが上がりましたよ!?」


 レベル3のシェイド2体がレベル15に急上昇しました。

 スキルも増えているし、これは……まあでも所詮はレベル15ですか。


 私のミスリルの剣とキャシーのミスリルの短剣の一撃が交差し、アークシェイドはあっさりと消滅しました。

 ドロップは……大きな黒晶石です。


「通常ドロップかな? だとしたらシェイドを狩るより効率がいいね」


「そうね。だとするとレアドロップは何になるのかしら?」


 キャシーとギルマがゲーマー思考になってますね。

 ええ、やればいいんでしょうやれば。

 というわけでレアドロップが出るまで粘りますよ!


 …………。


 はい、10戦目にしてようやくレアドロップが出ましたよ。

 オブジェクト探査の結果、名前は黒晶珠だと分かりました。

 恐らくは黒晶石の上位版でしょう。


「黒晶珠……聞いたことがありませんね。各属性を増強する晶石は知っていますが、晶珠というものは知りません」


 魔術関連でリナリーが知らないなら、私たちのパーティでは誰も知らないでしょう。

 使い方や効果が黒晶石と同じなら問題ないのですが、そうでなかった場合は危険があるかもしれません。

 そんな謎アイテムをギルマに使わせるわけにはいきませんね。


「ひとまずこれはインベントリに仕舞っておきます。使い道については調査するということで」


「探索者ギルドの資料を探せば出てくるかもしれないですね。過去の宝箱から出たアイテムなどの情報が蓄積されているはずですから」


「それって私たちでも閲覧できるんですか?」


「分かりません。今度、受付に聞いてみましょう」


 リナリーは「アークシェイド同士の合体は見合わせましょう。これまでの法則から考えると、通常ドロップが黒晶珠になるような気がしますし」と言いました。


 使い道のわからないドロップ品の在庫を抱えるのは無駄でしかありません。

 使い道が分かったら、改めてアークシェイドを合体させてみればいいでしょう。


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