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異世界デバッガのベリーイージー冒険譚  作者: イ尹口欠
シスター・イルマ

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 魔術師ギルドで〈ナイトサイト〉のスクロールを借りて習得し、座標遷移とオブジェクト探査を繰り返して禁書庫に忍び込み、〈サイレント・ムーブ〉の魔術を習得しました。

 他にも危険そうな魔術が一杯で魅力的だったのですが、座標をメモしておくに留めます。


 さて次に王宮図書館をやはり同じように探し出し、〈ナイトサイト〉〈サイレント・ムーブ〉を維持しながらオブジェクト探査で書物のタイトルをチェックしていきます。

 魔族に関して詳しそうな本『魔族研究記録』を探し出してから、スキル一覧のある場所を探します。

 リナリーから「スキル一覧は閉架書庫にあるはずです」と聞いていたので、うっかり司書と鉢合わせしないようにオブジェクト探査を使いながら慎重に探します。

 そして『スキル大全』というそれっぽい本を見つけたので回収し、座標転移でアントミーブルンの宿に戻りました。


「ただいま、リナリー」


「おかえりなさい、サトミさん。目当ての本は……見つけられましたか?」


 私はインベントリから2冊の本を取り出し、リナリーに確認してもらいます。

 内容をチェックしている時間はありませんので、勝手にもちだしてしまいました。

 読み終えたら返しますけどね?


「それらしい内容ですね。では私は『魔族研究記録』を流し読みして、魔族の一覧を作成します」


「お願いします。私は『スキル大全』に目を通しますので」


 魔族の種類について分かれば、シスター・イルマが何の種族だか詳しく分かるでしょう。

 しかしスキルについては効果も合わせて把握する必要があるため、私が『スキル大全』を一読しておく必要があります。

 スキルは急ぎませんが魔族の一覧は急ぐため、リナリーに一覧作成をお願いしました。

 魔族の種族名と簡単な特徴だけを書いたメモですが、それだけを読めば恐らく【デバッグツール】で魔族の種族を判別できるようになるはずです。


 とはいえ私はテキトーなところで読むのを止めて仮眠します。

 出発までそう時間がないので、徹夜するのはリナリーだけですね。

 リナリーには昼間に睡眠をとらせておきましたから、一晩くらいの徹夜ならなんとかなると思います。

 22歳ならまだ若いから一徹くらい余裕ですよね?


     ◆


 リナリーが一晩で作成したメモに目を通し、集合場所へ向かいます。


「遅れずに来たか。早速だが出発するぞ」


 神殿騎士エステル・フォードが荷馬車に野営道具や水の入った樽などを積み込んで待っていました。

 シスター・イルマは荷馬車の隅に腰掛けています。


 私は早速、【デバッグツール】でシスター・イルマのステータスを確認します。


 ……夜魔族、ですか。


 すすす、とリナリーの横に移動して「夜魔族でした」と小声で伝えます。

 リナリーは小さく頷きました。


「騎士エステル。こちらも準備はできています」


「エステルで構わない。こちらもサトミ、リナリーと呼ばせてもらう」


「ではエステルさん、とお呼びします。では参りましょう」


 特に何事もなく出発と相成りました。


 夜魔族は人類にエロい夢を見せて精気を奪い、衰弱死させる魔族です。

 しかしこの淫夢は異性に対してのみ使用可能らしく、シスター・イルマが女性である以上は私たちにはほとんど無害な存在だということになります。


 男子禁制にしたのは、うっかりイルマが男性をエロ死さないためでしょうか。

 詳しい情報が欲しいところですが、私たちにとっては今のところ事を大げさにするつもりはありません。

 何事もなければ王都まで護衛の仕事を全うするのが良いでしょう。


 そう、何事もなければ、です。


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