第捌壱話 Invitation
「で、その『あいつ』って誰?」
小杖が再び問う。
「小柄な目付きの悪い男だ。最初は別の男と一緒に現れた。そいつに媚びへつらっていたんだが、後に一人で再び現れた。」
「じゃあ、2人組に見つかっちゃったんだねえ。」
「多分、見つけたのはもう一人の男だ。『虚数時空間』がどうとか言っていた。彼はそれを探しているらしいが、俺が作った『これ』は似て非なるものだと言っていた。」
「きょすうじくうかん・・・。」
小杖が考え込む。
「ねえねえ。その人たちって、この世界に入って来れたの?」
福子だ。
「いや。村の人間以外がこんなところに現れるのは珍しいから、つい、俺が外に出てしまった。そこで、もう一人の男の質問に答えてしまったんだ。『あいつ』はそれを聞いていた。」
「じゃあ、あなたの能力の秘密を教えちゃったんだね。」
「まあ、そういう事だな。痛恨の極みだが。」
少年は俯き、本当に悔しそうな顔をした。
「1年ほどしてから、『あいつ』だけが戻ってきた。」
「また、出て行っちゃったの?」
「いや。あいつは気に入らない目付きをしていたから無視していたんだが、すると、村の子供を攫って来た。そして、この世界に入れないと、その子を殺すと言い出した。」
「ええーーーーーっ!とんでもない奴だねえ!!」
「そうだ。まさか、前にペラペラ自分の秘密をしゃべった事でこんな事になるなんて、考えもしなかった。」
「それで、2人をこの世界に?」
「ああ。子供は解放しろと言ったが、聞き入れられなかった。そして、この世界に入ったとたん、子供の方に切り付けられたんだ、」
「どういうこと?」
「『あいつ』の能力で操られていたようだ。そして、意識を失った間に、俺は力を奪われた。」
「力?」
「ああ。そのせいで、この世界を操る事が出来なくなった。そして、何故か、今、この世界を『あいつ』が操っている。」
「この『世界』を奪われたって事?」
「この世界を維持しているのは今でも俺の能力だ。だが、世界から出入りしたり、世界を改変したりする能力はあいつに奪われた。」
「能力を奪うって事は、『学派』の人なのかなあ。」
「いや。2人で現れたときは、学派に入りたがっている様子だった。」
「で、その人と子供は今どこにいるの?」
「子供の方は『あいつ』の『実験』によって、もう人間ではなくなっている。『あいつ』は村の家々を実験室と称して、おぞましい実験を繰り返しているよ。」




