第漆拾話 Eplosion
首領はそのまま全く動かない。白蛇の毒なのか、白蛇を構成していた粘液なのかはわからないものが、大量に注入され、首領の肌はみるみる真っ白になって行く。
「こりゃあ、ええのお。美白じゃ、美白。」
首領は余裕で笑っている。
咬みついていた白蛇たちはみるみる小さくなっていき、今は蛭が吸いついているんじゃないかというくらいだ。
「ぼちぼち、行くか!!」
首領は、すっかり元気になってしまった。
相手の意識を奪った後で操りやすいよう、痛みを感じさせなくなるような効果などもあるのかも知れない。
さらに、明らかにおかしな量の気を首領が練っているのだった。それも、陰の気だ。
「こいつは凄い!
おい、少年!!その体なら、この白いのを作れるのか?」
「ええ。傷口から勝手に出て来るので、出せると思いますよ。
ただ、そんな量を出したら干からびてしまいそうですが。」
「ガハハハ!!若い奴なら、すぐに回復するだろうが!?」
なんか、言い方がヤラシくないか?
つい、顔をしかめてしまったらしい。
「冗談だ!冗談。
まあ、とんだドーピング薬を見つけちまったみたいだな。」
精神を操られない化け物専用だけどな。
「さあ、約束を果たすぞ。
向こう側にワシは行けん。だが、その体のお前なら行けるはずだ。
あいつらのこと、よろしく頼む。」
首領はこちらに振り向くことなく、そう告げると、穴の傍に歩み寄った。
粘液を出しつくした本株の茎が生えているが、地面すれすれにローキックを放って切り飛ばした。
「陰の気さえなくなれば、こいつらはただの雑草なんじゃ。
まあ、ちょっとばかし厄介じゃがな。」
そして、左足に陰の気を集中する。
首領の全身の血管が、肌よりも白く浮き上がり、脈打っている。
「うん?こりゃ、ヤバいな。
おい、少年。なるべく離れて、姿勢を低くしていた方がいいぞ。」
たしかに、涅槃寂静の威力は凄まじいものだったが、攻撃範囲はそこまででもなかったはずだ。だが、首領が言う事だ。素直に従っておこう。
部屋の端まで下がって身を伏せたところで思い出す。俺の元の体のことだ。上半身をヤドリギ、下半身を悪茄子に寄生された事で、まともに動けなくなっているアレの事だ。
「首領様、ちょっと待って・・・・」
「ふははははははははははは!
いいぞ!!この力!!行くぞ!!!」
ダメだ。ハイになってて、聞こえやしない。
首領の左足の陰の気が猛烈に膨れ上がり、首領が左足を振り上げる。
慌てて俺は頭を下げる。
ドゴォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!
首領が足を振りおろし、地面を踏み抜く瞬間、陰の気が止まり、あり得ないほど巨大な陽の気が爆発を起こしたのだった。




