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 魔導蟲  作者: 七味とうがらし
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来訪者

 私は今、ミケーネ・コーナの霊廟まで来ている、入口は塞がれていたが中に入るとそこには両親の墓標が有った、ギルドで聞いた通りだった、更に奥に行き霊廟の扉を開ける、中に入っていたはずのフルプレートとクレイモアが持ち去られていた、霊廟の奥に小さな箱があるのを確認する、開けてみるとそれはミスリルで作られていると思しき金属の加工品であった、

 

 箱には【魔導銃パイソン】と書いてあり各部部品名と分解図それと使用説明書が入っていた、どうやらこれは武器らしい、試しに説明書の通りに作動させてみようと思う、説明書によると銃のシリンダーバレルにミスリルで出来た薬莢を入れる、薬莢の先端には魔鋼で出来た弾丸と呼ばれる物が差し込まれていた、


 私は表に出て100m先にある直径5m位の岩に向かって銃に魔力を込めて引き金と呼ばれる部分を握り込む、魔力が銃に吸い取られる感覚になり轟音と共に狙った岩に命中したらしい、次の瞬間凄まじい疲労感が体を襲う、私は霊廟まで戻りそこで意識を失った、どのくらい眠っていたのだろうか、私は目が覚めた、あの岩はどうなったのだろう、確認しに行くとそこには直径50cm位の焼けただれた穴が穿たれたあの岩が有った、


「一発撃っただけでこんなに魔力を使うなんて...」


シリンダーバレルには6発装填出来るようになっていた、


「6発入っていると言う事はこの銃を6連射出来たと言うの?ミケーネ・コーナは...」


銃をしげしげと見ると木製グリップには【J・C】とイニシャルが刻まれていた、


「ジュン・コーナの武器なのか」


ジュン・コーナはとんでもない魔力量だったんだろうかと想像するも今となっては確認する術もない、取り敢えずこれは置いておこう、撃つ度に倒れてしまうのではしょうがない、


霊廟にあったミケーネの日記を読破してここを去ることにする、入口を塞いでシナノのギルドを目指す、


 ここは活気にあふれたギルドだった、魔導蟲の移植事業と魔法訓練学校に力を注いでいる為、この街のギルドは魔法使いが多く在籍しているようだ、仕事依頼の掲示板を見る、薬草集め、ゴブリンとかの害獣狩り、一般的なクエスト以外にも要人の護衛や商人の馬車の警備、この街では冒険者が仕事に事欠くのは無いみたいだ、


「こんにちは、ギルドマスターはいますか?私はクローネ・コーナと申します、お取次ぎをお願いしたい」


 怯えた感じでギルドの受付嬢の顔が引きつる、


「は、はい、只今呼んでまいります」


慌てながら二階のギルドマスターの部屋に呼びに行く、


しばらくすると年老いた竜人がやってきた、そしてクローネを見るなり


「よく来たな、クローネ・コーナよ、コージィとシローネから話は聞いておるぞ、儂はこのギルドの長ドライゼと言う」


「シローネの行方を知っているのですか?」


「む?夢で連絡が行ってないのか?」


「何の事ですか?」


「おお、そうか、お前は夢を記憶しにくいタイプなのか、すると我流で魔力を高めてきたのだな」


「はい」


「ではしばらくはこのギルドで魔法を学んでいくとよい、」


「何故見も知らぬ私の様な者にそのようなお言葉を?...」


「儂はなミケーネやジュン達とは浅からぬ縁が有ったからの~」


「ミケーネとお知り合いだったのですか?」


「竜人の寿命は長いからな、ミケーネはこのギルドを拠点にしておったのじゃ」


「そのうちコージィ達もこの街にくるじゃろ、それまで魔法を学んでいきなさい」


「はい、お言葉に甘えてそうさせて頂きます、」


「では改めて、ようこそシナノの街魔法学院へ、校長のドライゼじゃ」


精神修行の為二階の教室で座禅なるものを始める、自分を見つめなおし心を無にする訓練であった、


身体強化の為走り回ったり基礎体力強化が基本で行っている、二週間程昼間は基礎体力強化、夜は精神鍛錬と密度の濃い訓練をして来た、またある時は遠足と称して他の生徒たち十人くらいと火山の火口まで行く


「皆よく見ておきなさい、これが火山の火口なのじゃ、この赤くたぎるのは岩が高熱により溶けているものじゃ、」と言いながら木の枝を溶岩に放り込むと瞬時に燃え上る、


「皆この現象をよく見ておくのじゃぞ、」


「「「「はい師匠」」」」


「岩は高熱により溶ける、氷も高熱により溶けて液体になる、温度の差こそあれど、理屈は同じことなのじゃ」


「これがファイアと土魔法を組み合わせたファイアバレットになるのじゃ」


「では各々魔力を込めてファイアバレットをイメージしてみてくれ」


あちらこちらでファイアバレットの掛け声がかかる、一人二人とファイアバレットを作り出していく、


「出来ないものはおるか?」 クローネとその他4名ほどが手を上げる


「では儂が補助するので一人づつ前に来なさい」


前に出たクローネの頭を撫でて 


「今からイメージをお前の頭に送り込む」


 そう言うとドライゼ師匠からイメージが流れ込んでくる、恐ろしいほどの火山の噴火そして火砕流によりすべてが焼き尽くされていくイメージ、


「さあクローネ今のイメージを再現してみなさい」


「ファイアバレット!」 手を向けた方向に真っ赤に焼けた火山弾が飛んでいき岩を削る、


「うむ、よく出来たな、そのイメージ忘れるでないぞ、」  


「はい師匠」


「さあ、次はだれかな?」


そうして全員がファイアバレットを習得していった、


 ギルドに帰ってくると私はギルドの受付カウンターの中に座る、ギルドの仕事は長年やって来たので冒険者の扱いも慣れた物だった、滞在中は少しでも師匠の役に立ちたいと言う思いでこの仕事を買って出た、


 二階が騒がしい、ドライゼ師匠しかいないはずなのに複数人の会話が聞こえてきた、


「じゃあドライゼさん兄者はしばらくここに休ませてもらいますね、」


「ああ、わかった とりあえず一階に行こう、」


 するとドライゼ師匠を先頭に熊獣人とエルフの少女と白いフルプレートの鎧にメイド服にエプロンを装備した人物が下りてきた、

 

 「クローネ姉さん!」鎧エプロンはそう言って私に飛びついて来た、勢いあまって押し倒される、


「シローネなのか」そう言って面当てを上げて確認する、


「ああ、シローネ久し振りだな、」


「父さん母さんが...」


「ああ、霊廟に行ってきたよ、」 そういって抱き合ったまま何も言えなくなってしまった、


一頻り泣き終えて落ち着いた所でシローネは仲間の紹介を始める、今は二人いないけどサリーちゃんとランちゃんがいるからと残りのメンバーの事も告げていた、


セキとセラがドライゼに厨房を借りる許可をもらい早速飯を作る、


「今日はご馳走つくるからね、たのしみにしていてね」 セキはアイテムボックスから食材を出しながらそう言い、セラと打合せをしつつ作業している、


「コージィはきていないの?」クローネがシローネに訊ねる、


「兄者は転移魔法を使うと魔力の使い過ぎで倒れてしまったのです、あと3~4時間くらいは起きないと思います、


「転移魔法はあの摩道具と同じくらい魔力を使うのか」 そう呟く、


「クローネ姉さんあの摩道具って?」


「霊廟の奥にあった魔導銃って言う武器で一発撃っただけで倒れるくらい魔力を使うので私達には使えない代物だよ」


「そうですか、あとで兄者に伝えておきます、]


「話は変わるんだけど、シローネなんでいつもプレートメイルを纏っているのかな?」


「クローネ姉さん、いまさらそのこと聞くんですか、」


「この鎧はミケーネ・コーナの鎧で常に魔力を消費するんですよ、なので魔力強化の訓練で着ているんですよ、最初の頃はかなりきつかったですけど、今は一日着ていても問題ありません」


「シローネ、少しだけそれ着てみてもいい?」


「はい、体調悪くなったらすぐに脱いでくださいね、」


そう言って鎧をクローネに装着していく、


一時間後、真っ青な顔をしたクローネがそこに倒れていた、


「シ、シローネ...これを何時も付けているのか?」


「はい、今ではこれを着ていないと不安になるくらいなんです、」


「シローネならあの霊廟の【魔導銃パイソン】を普通に使えるのかも知れないな」


「では、明日兄者とそれを確認しに行ってみます、」



翌日コージィとシローネにクローネがミケーネの霊廟に来ていた、


 「これが魔導銃パイソンか、説明書と設計図に仕様書か」


 口の堅い職人にこれの複製を作ってもらおうかと思い心当たりを探すとヴォ-レン工房がここから近いし信頼できるので依頼してみる事にする、まあ作ったからと言って並みの精神力じゃ1発撃っただけで失神するような代物だしな、これは拡散はしないだろうから試しに複製を作ってもらう事にした、これはしばらく時間がかかるようだ、


 俺たちはギルドに戻るとセキとセラが合流した、更に各地から行商の依頼が来ていた、ウオッカのイワンさんとジン、ラム、テキーラの在庫が少なくなったとの連絡が入っていた、今回は良いバーボンが入ったからこれを紹介してみようか、あとカカオとバニラの在庫も少なくなってきたしな、久々に仕入れの旅に出ようか、と皆に相談する、全員から賛成の回答があった、そして俺たちは一番遠い所から順に回っていくことになった、








続く 

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