廃棄王女
「兄ちゃんこっちへ来てくれ」 誘われて地下壕の様な所へ、セラの住処のようだ、
「俺の家だ遠慮せず入ってくれよ」
ろうそく一本の明りの中セラは話を始める、
「兄ちゃん救世主なんだろ、俺たちを助けてくれよ」
「いあ 俺の胸に七つの傷何て無いからな」
「傷?そんなのは関係ないんだ、あんた、コージィ、コーナだろ、救世主伝説のミケーネ・コーナの子孫だろ?
「ああ、確かに俺の先祖にミケーネ・コーナがいると聞いたことがある、しかし何故俺が助けるんだ?俺には何のメリットもない、かえってデメリットの方がでかいくらいだ、」
「いや 牛獣人のおねえさんが言ってたんだ、まもなく予言の男が来てこの国を良き方向に導くだろうって」
暗くて解らなかったがちょっと離れて牛獣人の妊婦さんが座っていた、
「牛獣人のミルねえさんだ、」といって紹介された、ミルねえさんは爆乳ねえさんであった、
「っで夢に見たんですか?ひょっとしてその人は、男だか女だかわからない中性的な人が出てきて、とても美しい羽衣を纏って夢に現れたその人は、美しい声と素晴らしいプロポ-ション鍛え上げられた筋肉!筋肉?うっすら髭剃り跡が青っぽくなって顎が割れていた 意思の強さを表しているような感じだ、というような人ではなかったですか?」
「はいその通りの方でした、出会った瞬間にチェンジで!と私も意味不明の言葉を発した記憶が有ります」
「そうですか納得しました、」 ここまでがお約束なのかとツッコミを入れてます、
「じゃあミルねえさんも魔法が使えるんですね?」
「いいえ何をおっしゃるんですか、私の様な平民が使えるわけないじゃないですか」
「ああ、確かにこの国の魔法至上主義と言うより エルフ至上主義ってのを作ろうとしてるらしいな」 確かにこれじゃより良き進化は出来そうもないな、
「ミルねぇさん俺のやることを真似してやってみてくれるかな」
俺はファイアと唱えながら爪の先に火を灯す
「救世主様は魔法も使えるんですか!」驚いたように俺を見る、
「さあ ファイアと詠唱をしながら爪の先からろうそくの炎が出るのをイメージしてみてください」
暫くしてぽわっと爪に火が灯る
「ああ、私に魔法が、魔法の力があったなんて」 ミル姉さんは喜び泣き崩れていた、
俺はその時錬金術師モローの一文を思い出し口にする
「弱さ故理不尽な人生を強いられ、魔法を渇望する者へこの書を送る...」
これがあの男の目指した物だったのかと、
「エルフ国のエルフ以外の平民は魔法が使えないと言う【暗示と言う呪縛】により魔法が使えなかったんですね」
「セラ本当にありがとう、あなたと巡り合えたことで人生が変わったわ、」
「いやミル姉さんこそ、捨てられたオレを拾ってここまで面倒う見てくれた事に感謝してるよ、姉さんに拾ってもらわなかったらオレも今頃生きちゃいないんだ」
「お前捨てられてたのか、」と言ったら頭の中で声が鳴り響く、【コージィその子は王族の元第一王女のセラフィムちゃんなのよね~体が弱くて生まれてすぐに初乳が飲めなかったみたいよ】
そうだったのか、「エルフ国の第一王女殿下セラフィム、お前はこの国をどうしたい?復讐なら手を貸すぞ、」
「何故それを...」セラが驚き俺を見つめる
「俺はな ミルねえさんと同じ夢の中の人と会話が出来るんだ、その人から色々聞いたんだよ、お前が王女で魔法が使えないからって事で、糞くだらねー世間体の為に死んだことにされて廃棄された廃棄王女だって事をな」
「セラ お前魔法使えるようになりたくはないか?」
「使ってみたいけどそんなことできる訳ないだろ!」半分怒ったようにそして諦め交じりの口調で言葉を返した、
「それが出来ると言ったら? どうする?」
「オレに魔法の力をくれるのか?本当にそんな事が出来るのか?出来るならすぐやってくれ、どんな対価でも払う、オレの命を差し出しても、だから...頼む...」
セラはその場に泣き崩れていた、
「ここで質問だ、セラ お前は何のために魔法を望むのか」
「ここのみんなを助けるためだ」それは即答、何の迷いも躊躇いもない回答であった、
俺はセラに向かい優しくあたまを撫でる、
わかった、俺たちがその願い受け止めよう、
「セキ、ランこの国の価値観を潰そうと思う」
「救世主のパ―ティだから当然いっしょにやるよ~」
「救世主がそう言うならオレはついていくぜ」
「俺の名前 救世主はいやだな~ ほっぺが赤くなっちゃうからな~、とりあえず今日は宿に戻るか、そこで作戦を考えよう」
「セラとミルねえさんも一緒に来て特にミル姉さんは最重要人物だからね、
ミル姉さんキョトンとした様子でこちらを見ていた、
抜け穴を通り城郭都市に入り宿屋へ、2名分の追加料金を支払い先に風呂だ、特にセラ今まで言わなかったが臭いがキツイ なのでランとミル姉さんとセラを先に風呂へ入れる、お湯を作るのはランの役割だ、水を加熱してお湯にするやり方じゃないんだよ、ランは 湯船にファイアバレットをそっと打ち込む、焼けて炎を纏った石が水をお湯に変えていくんだ、ちょっと荒っぽい
たちどころにお湯が泥水に変化する、何度も水を交換してやっと普通に入れるようになった、ミル姉さんも凄かった、 え?何がって? いやだな~汚れですよ よ・ご・れ と言いながら海綿体が充血していたのはご愛敬
風呂から上がってきたセラは別人のようだった、今まで汚くしていたのは女だと言う事がバレないための変装も兼ねていたんだって、ミルねえさんはそれの犠牲者でもあったんだ、だからセラを守ってくれてたんだね、
綺麗な銀髪尖った耳が隠れるくらいのショートカット翡翠色の瞳に陶器のような白い肌、そこにはまさしくエルフの王女殿下がいた、なので口調も王女時代の口調に戻すように言っておいた、
「さて、魔法使いは後天的に作ることが出来る、この説明から始めようか」説明から始まる、
「と言うわけでこの世界をより良き進化を促すために俺達は活動しているんだ」
「ここでの注意をしたいんだが、悪しき心根の輩には魔導蟲を移植しない事、当然意味はわかるよね?」
「悪人が魔法を使えたら恐ろしい世界になってしまいますものね」セラが答える、
「なのでミル姉さんから魔導蟲を移植できるのは40名程になります、37名ほど候補者を絞っておいてください、セキのおじさんとおばさんの分とセラの分を最優先とさせてもらう、身内贔屓と言われるかもしれないがここを譲る気はないので了承してくれ」
あと優先させたいのはだれかな?
「お城にいた時最後まで私を守っていてくれた人がいるんです、是非ともあの人たちをお願いします、」
「それはどんな人達ですか?」
「王女専属宮廷騎士団の人たちです、」
「それは任せてください、必ず魔法が使える様にしてみます」
「有難う御座います」セラは深く頭を垂れる、
「それでは俺が宮廷に潜入する為料理人として喧嘩売りに行って交渉してきます。」
「「料理人で交渉?」」セラとミル姉さんが訝し気に俺を見る
「焼き物揚げ物はセキの足元にも及ばないがスープと煮物はいい所までいってるんだぜ、」
「うん、コージィのスープはおいしいよ素材の選び方と組み合わせがいいんだ」
「それはオレも認める所だ物によっちゃセキのスープと同等かそれ以上の美味さの時があるくらいだ」
「明日の朝一番で城に行ってサクッとやってくるよ」
翌日宮廷の厨房におれはいる、木箱にきっちりと並んで手入れの行き届いた包丁達、柄には【コージィ作】と銘が刻まれている俺の包丁セットだ、
「ここのストーブ前が誰がやってるんだ、俺と勝負しろ!」
俺は白金貨をエサに勝負を仕掛けている、ここの厨房の連中は職業意識ってものが全くない、料理長からしてたばこなんか吸いながら料理してやがる、こいつら料理をなんだと思ってるんだ、こんな意識の低い連中に負けるわけがない、白金貨チラつかせたらすぐに食いついて来たよ、
俺が勝ったら一週間俺を雇う事ってのが条件だけどな、スープ対決で審査員は暇を持て余しているこの国の王、セラの親父さんだ、
セラからの情報でこのオヤジかなりの食道楽だそうだ、何処からか今日の勝負事を聞いて審査員を名乗り出た、
まあメイドに金握らせて勝負の噂を流したのも俺なんだけどね、その時に王女専属宮廷騎士団行方の方もきっちり抑えておいた、
これで舞台と役者は揃った、
勝負は同じメニューで同じ材料を使った勝負、もろに腕の差が出る勝負だった、勝敗?んなもんやる前から結果が出てるよ、 だってあいつジャガイモの芽をキッチリ取らずに切ってたりとにかく食材に対する敬意も感謝も何もないんだよ、それでコイツがこの調理場のストーブ前をやってるんだから片腹痛いぜ、
っで、実食 王宮ストーブ前の野郎が作ったスープを審査員が口にする、
「ふむ、いつもと変わらず安定しておるの」
次流れの料理人のスープにございます
「ウホッ、なんという事だ...」以降絶句したまま すぐにたいらげてお代わりを催促し始めた、
もう一度王宮料理人のスープを口にする、
「儂は今まで食通を気取っていたが本物のスープと言うものを初めて口にした気分じゃ、食通気取りの今までの事を考えると情けなくなる、」
「流れの料理人コージィと言ったか、世の専属料理人に召し抱えるぞ、月に金貨10枚出そう」
「ほ~金貨十枚ですか、羽振りがいいですね~」
「うむそうじゃろうそうじゃろう、美食を極める為には金に糸目をつけるのは無粋というものじゃからのう ふぉふぉふぉ」
「だが断る!」
「へ?今なんと申した」
「嫌だ断る拒否をする、そういった意味の言葉を言ったつもりだが何か?」
「俺を雇入れたいなら力でねじ伏せて見ろよ、俺は逃げも隠れもしねえ」そう言う訳の分からない論理をかましながら包丁セットを仕舞い帰宅準備を始める、
「随分余裕が有りそうな態度ではないか、この平民風情が!」
いきなり国王がファイアボールを打ち込んでくるがあっさりウインドシールドではじき返す、
「え?こんなしょぼい魔法で国王なんてやってられるの?うわ~だっさ~」 軽く挑発してみる
ファイアボールを出して「儂の最高威力のファイアボールじゃ くらえ!」
「ふ~ん」と言いながら無詠唱のアイスウオールで壁を作る
「こうなったらここが吹き飛んでもかまわん儂の究極魔法を使うぞ、詠唱するから時間を稼げ」
最高魔法の上が究極魔法って言うのかふ~ん、と、思いながら 「おっさんがんばれ~」と言いながら俺は雑魚を蹴散らす為一番加減しやすいストーンバレットを放つ、
「全ての命を育みし 母なる無限のこの大地 大地の底にふるえある 熱き力の源よ 我と汝が力もて等しく滅びを与えんことを ファイアバレット!」
どこかで聞いたような詠唱だな~と思いながらファイアバレットをアイスウォールではじき返す
「な、なに...はじかれた...だと...」その場で国王気絶して動かなくなりました、
「うわ~国王しょぼっ たったこれだけで魔力切れ、精神力全然鍛えてないんだな、」
「魔力ってのは精神力を具現化した力って基本的な事もしらないんじゃないのか?だから俺たちは精神力鍛える為みっちり鍛錬してるってのに、」
【持って生れてきたヤツってのはそれが当たり前になってるから努力ってことをしないのが多いのよね】GODさんが頭の中でぼやいてました
「俺は逃げも隠れもしない明日の昼城郭の外で待ってるぜ 何人来ようが誰が来ようがいっこうにかまわない、なんかむかついたから叩きのめしてやるよ、」
俺はそう言って城を後にした、
続く




