そして俺たちは、
コージィです、北にいますよ今、空気を吸い込むと肺が凍り付きそうです、まつ毛に氷柱が出来るくらいですよ、そんな北の街に来ています、
何処か宿を探さないとこれ確実に死ねる、そんな中眠そうに歩いている熊と酒瓶担いだ身長130cmくらいの少女の姿をしたうわばみが隣にいてアルコール度数96の酒を勧めてくるんですよ、ヤバいコレ本当に死ねる、
しばらく歩いていると灯のともるお屋敷を発見、
「すいません旅のものでこの寒さに難儀しているのですが、一晩納屋の隅でもいいですからお借りできないでしょうか?」俺はそう言って扉の前に立つ
「これはこれは、大変でしたね ささ中へお入りください今温まるものをお出ししますよ」
そう言って家の主らしき人に促されるままに家の中へ、
中は暖かい、体の血液がゆっくり循環していくのを感じつつ礼の言葉を述べる
「本当にありがとうございました、」
「とりあえずこれをお召し上がりください」といってお湯の入ったコップを渡された、ゆっくりお湯を啜ると、むせました俺は、ランは口角を上げて飲んでます、セキはお湯を啜るかの如く普通に飲んでました、
「おじさんこれ何て言うお酒?」
「ん?これかい、デビルズ・スプリングス・ウオッカの果汁割だよ度数は80位かな」
「これって何処で買えるのかな、」ランが問う
「これは家で作って売ってる酒だよ、」
「おじさんちは作り酒屋なの?」
「そうだよ、お嬢ちゃん酒が好きそうだね、ひょっとしてドワーフ族なのかい?」
「うんそうだよ、うちの爺さんが美味い酒が飲みたいっていったから旅をして探してるんだ、」
「ほ~えらいね~、それでうまい酒は見つかったのかい?」
「あまり強くない酒なら多いんだけどね酒精の強いのは美味いって言うのが少ないんだよね、おじさんコレ飲んでみて、」アイテムボックスから100リットルの樽を出しコップに注ぐ、
「ストレートでも飲める酒なんだけどこれ度数71程有るんだよ、」 おじさんちょびちょび舐めるように飲んでいきます
「これエリクサーって名前の酒なんだ修道士が作ってたんだけど、そこから分けてもらったんだ」
「ほ~ハーブと花の香それに甘口に仕上げているから度数71でもストレートでもいけるね~これは良いものだ」
「これは売り物ですか?」
「ああ、封を切ってない樽があと2つあるから一つは売り物だよ」
「1リットル当たり如何程ですか?」
「1リットル銀貨2枚だよ」
「じゃあ20リットル程分けてもらえますか」
「小さい樽ある?それに入れるよ」
「思わぬところで商売になったな~」俺が言う
「夕飯はもう食べられましたか?」更に俺が聞く
「いや~これからと思っていたんですよ、支度も何もこれからなんですけどね」
おじさんはそう言ったので「じゃあ夕飯は俺たちがご馳走させてもらってよろしいですか?食材は大量に持っていますので、何名様分ご用意しましょうか?」と訊ねると、
「おお、そうですかウチは家内と息子の3人暮らしなんですよ、」
「はい解りました3名様ですね、厨房をお借りできますでしょうか?」
厨房に案内されたセキと俺、セキが厨房の調味料を見る、減り具合を確認して「何かリクエストありますか~」といつもの間延びして感じで聞いてくる、
「温まるものがいいですね~」
「うん、体も温まるやつね」セキが答える、
早速セキは材料と香辛料を取り出す、お、ターメリックを多めに出したなって事はアレにするのかな?スパイスの量と肉の切り方を見て料理の検討を付けて俺はセキに聞く、
「ナンで行くのかライスなのかと、」
「ライスが良いと思うよ~」そう聞くと俺は米の種類を聞く
「堅め柔らかめどっちが合うようにする?」俺は飯の堅さをセキに問う
「少し柔らかめで粘るお米がいいな」
「了解だ、短粒種の米だね」所謂ジャポニカ米って奴だ、
俺は米を研ぐ、とりあえず一升の米を炊いてます、
俺は米を炊く係がメイン職業だから(笑) この旅で俺自身もそこそこ料理が出来るようになっている、なので俺のポジションはストーブ前(暖かい料理担当)って所だ、ちなみにランがコール場(冷たい料理担当)をやっている っでさらにメインシェフのセキに聞きます「付け合わせ何する?」
「ガッツリとカツ乗せちゃおうか」
「おおっ今日はカツカレーで行くんだな」俺はゴマ油と肉をアイテムボックスから出す、そしてポテトサラダの作成も俺の仕事だな、と暗黙の了解をする、息子さん用に肉は叩いておく、柔らかくするためだ、
その間ランは飲み物を作っている、グレープフルーツをドワーフの握力で絞りだしてグレープフルーツジュースを作っていたんだ、それとデザートにアイスクリームを作っていた、ちょっと部屋の外に出れば簡単に冷やせるからね、卵黄、砂糖、少量のハチミツ、バニラエッセンス、天然塩、ミルク、生クリームを出して準備してる、ランも自分の好きな物はセキに教わって作れるようになっているからそこそこ作れるんだね、アイスクリームの脇にはブランデーの小瓶が置いてある、ランの好きな食べ方だねコレ、濃厚なアイスクリームに少しブランデーを垂らすとまた一味違うんだよね、ランは余った卵白を使ってラングドシャクッキーをお茶菓子用にと作り材料を余らせないように作業する、
全てが完成したので居間に集まる、
「今日は無理を言ってすいませんでした、おかげさまで凍死せずに済みました、心ばかりの感謝のしるしに料理を作らさせていただきました、どうぞお召し上がりください」
「では頂きます」おじさんさんが言うと
全員そろって「「「いただきます」」」
何も言わずに夢中になって全員食べている、息子さんのカレ-ル-にはミルクがかけられている、寒い地方なので味も少し濃いめだ、そしてテーブルの上にはソースが置いてある、
「このカツに少しソースかけると味が変って美味しくなるよ、かけてみて」セキが説明する、
「本当だ味が変わった、この一皿で色んな味が楽しめるね、」おじさんが言う、全員食べ終わるとうっすら汗をかいていた、それを見計らったようにランが部屋の外に置いてあったグレープフルーツジュースとアイスクリーム、ブランデーの小瓶を持ってきた、
「この甘さにブランデーの風味がいいね、こんな寒い時にアイスクリーム?と思ったけどこれもいいね」
中々の高評価を得たようだ、セキもニコニコしていたから良い出来だったのだろうと思う、
後に旅をする3人組の凄腕料理人達の噂が流れる、どんな食材でも最善の調理法を目指し妥協しないセキをリーダーとしたこの料理チームが幻影レストランと呼ばれるのはまた別のお話で、
一泊させてもらった俺たちは酒をおじさんから仕入れる、樽に蔵元の名前と住所をいつものように書き込んでおく、商品名【ストリナチヤ ウオッカ】イワンおじさん作っと、
3樽買い付けてアイテムボックスへ入れる
「お世話になりました、良い商材も仕入れさせていただき有難う御座います仕入れの時はまた宜しくお願いいたします」
俺は行商人のリーダーとしての挨拶をし次の地を目指す、
「みんな、もう少し暖かい所に移動しないか?このまま行くと確実に死ねる、」
「賛成、もう少しだけ暖かい所が良い、」「うん そうだね~」
って事でこの場所から南西方向に移動してきた、3人ともジョギング程度の走りなんだけど50km/hくらい出てるんだ、1日の移動距離がおおむね300kmくらいなんだね、2日も走ると少しは暖かくなってきた、
なんだか賑やかな街に出た、アクトベって街らしい、東西南北の街道が集まる街だ、一週間ほど屋台の出店許可を取りに役場とギルドへ、他の出店してる所の脇の空いている場所を確認してから俺たちは屋台をアイテムボックスから出す、セキは軽食の屋台ランはショットバーの屋台俺は雑貨屋の屋台だ、
商品は殆どアイテムボックスに入れてある、なのでサンプルとカタログを屋台に所狭しと並べておく、これが俺たちの小売りするときの行商スタイルだ、俺とセキの屋台の間にランの屋台が有る これの配列も作戦の内なんだよね、
ランが氷を丸く削りグラスの準備 屋台にはメジャーカップ、シェーカーとマドラーにバースプーン、スクイーザーとグラスが置いてある屋台の側面にはメニューが書いてありのの特徴も書いてあった、っで他のショットバーと違う点が一つこれはここでしか飲めない物なんだ、オリジナルカクテルだからね、それで俺たちがいなくなればもう二度と飲めないかも知れないこの商品、ってことなので当店では原料の酒とレシピも販売してるんですよ、
ランの屋台で有料にて試飲してもらい俺の屋台で原料とレシピを販売してるんだね、レシピはガリ版印刷で小冊子にまとめてある、これも販売してますよ、
っでセキの屋台は今日は焼き鳥屋だね、神速の串打ちで次々と出来上がっていく それを炭火で焼いてるんだ、タレと塩の2種類だ、肉の部位で食感と味を楽しませる屋台なんだね、
俺は一般のお客さんにはかわきものの販売とチーズに枝豆、ハムとベーコンの盛り合わせもやってる、あと小粒にした自家製チョコレートも販売してるんだ、どう見ても酒のつまみだよね、
これから一週間は小売りに専念する、
かなり常連さんも出来た、随分気に入ってくれたようだ、その中には何人か飲み屋のオヤジもいる、商売熱心だなと思っていたら美味い酒が飲みたいだけと言うのが本音らしい、俺たちが今日で屋台をやめると聞いて名残惜しそうにしていた、そこで俺の出番だ、
「店の名物を作ってみないか?レシピ売るから買うかい?」俺はそう提案する
「え?いいのか?そのレシピはお前さんが作り出したもんなんだろ、」
「いあ~俺たちは行商人さ、この酒と商材を売るために旅をしてるんだよ、」そう言うと各飲み屋のおやじ達はそれぞれ一つづつレシピを20万ギルダンで買ってくれた、注文リストを見て一言
「綺麗に別れたね、うん これならベースごとだから使えるレシピ全部教えるよ、
「おおっ いいのかい兄ちゃん、太っ腹だね、」
俺はベースの酒でジン、ウオッカ、ラム、テキーラを出す、おっさん4人に試飲してもらいそれぞれどれを選ぶか決めてもらう、各自好みの酒が決まったので明日から各お店に行ってレシピを伝えると約束して俺たちは宿に戻る、
宿に戻るとさっきのジンをベースの酒を選んだおっさんが厨房にいた、
「おじさんここのひとだったんだ~」セキが気が付いて声をかける、
「おう兄ちゃんさっきはありがとな」そういいながらフライパンを振るう、
セキが「コージィあのおじさん手伝ってきていいかな?」と聞いてくる、
「ああ覚えられる技術はなんでも覚えてこい、」そういっておっさんに声をかける、
「おっさんこいつも少し料理の勉強してるんだ、ちょっと鍛えてもらえないか?
「ああ構わないぜ、かえって助かるくらいだぜ、」おっさんから許可をもらいセキは清潔な白衣を纏う
「よろしくおねがいしますね~」そう言って厨房に入っていった、
セキはこの国この街の伝統料理を覚えて万人に合うように進化させていく、そして出来上がった料理を俺たちが試食する、
「風が語りかけます、うまい、うますぎる、」俺は呟く、
セキはそれを聞いてニコニコするばかり ランは何も言わずにひたすら食べている、
俺が本当にうまいと思ったときについ呟いてしまう言葉だ、 料理の名前はカザクシャ・エト 馬や羊などの肉を茹でた幅広の麺に肉のだし汁をかけその肉をまぜてある料理だ、一件シンプルな料理だけど香辛料で大化けする料理だった、セキは俺たちに合うように調整したようだ、おっさんも試食したとたんセキに教えを乞うてきた、それからセキは次々と料理を作り上げ、店の評判もかなり上がったようだ、
そして翌日朝から俺たちは酒のジンベースのカクテルを作りながら説明していく、講師はランだ、ランはどんなに飲んでも殆ど酔わない、だからテイスティングをいくらやっても間違えないんだよね
レシピと手順、果物の選択、温度管理をおっさんに徹底的に叩き込む、ランは酒の事になると凄くシビアになる、妥協は一切しない、おっさんもうボロボロ状態でも容赦なく特訓、おっさん腱鞘炎になってるんじゃね?と思えるほどシェーカー振ってましたよ、おっさんに作らせてランがテイスティングの繰り返しだからね、酔いつぶれないランはきっちり酒が作れるまでそれは深夜まで続きました、
っでこの宿屋のレストランの業務はセキが全部やってましたけどね、昨夜のお客が仲間を連れてリピーターとして何組もやってきましたよ、美味い飯が食えるって事でね、あと3日はここにいると言って今日食べそこなったお客さんを優先的に受け入れるらしいですよ、
深夜までの特別訓練が終わって本日は就寝、明日はラムベースの酒だね、片づけ終わったら寝ます、
翌朝、おっさんの宿から300m程西に来た所のレストランバーに来てます、セキはジンのおっさんの店のレストランで下ごしらえをしてるので今日ここは俺とランだけですね、
ラムのおっさん(名前覚えるのめんどい)にランがレシピ通りに作って見せる、それを少し味見してラムのおっさんが一種類づつ覚えていく、これもランが納得いかないと何度でも作り直しを求められる、その間レストランは俺が助っ人で入ることに、セキのチームでストーブ前を任されてるからそこそこ作れるので俺がラムのおっさんの代わりに厨房に立つ、各テーブルから絶賛する声が聞こえるが、まだまだだね、本当に美味い料理ってのはこれじゃねーんだよ、と思いながらも料理を仕上げていく、ラムのおっさんも深夜には腱鞘炎になってるんじゃないかと思われるほどボロボロになっていたよ、
ウオッカのおっさんのバーとテキーラのおっさんのショットバーも同じようにランのシゴキで腱鞘炎になったかもしれないな~と呑気に思いつつこの街の滞在最終日、
ジンのおっさんの店に全員集まっていた、
「兄ちゃんたち明日この街を離れるのか?」
「ああ西北方面ににいってみるよ」
「エルフの国へ行くのか」
「そこで商売のネタ探しだな、又いいネタが有ったらこっちに連絡するよ、それと何かあったらテンシンのギルドあてに連絡をくれれば俺たちがどこにいても連絡できるようになってるから、酒の注文の際は是非当社コージィ商会まで、」
「いや~それを聞いて安心したよ、レシピ覚えたはいいけど肝心の酒がなくちゃな~、」
「ジンさん!オレはそんなヤワな教えはしてねーぞ、無ければ考えろ、オレを超えるようなのを作れって言ったろ、」
「そうだったな、酒は夢、ロマンを追いかける物だよな、精進して新しいレシピ作って見せるよ」
ランはニヤリと笑いながらグラスを軽く掲げる、
うちのバーテンダーは厳しいな、と思いつつ俺たちはセキの作った飯を腹いっぱい食う、この街での最後の晩餐だ、
続く




