家族
しばらくこーゆー感じです。
「おっとすまねぇ。俺の名前はガイだ!こっちが娘の…」
「ミナです!」
「私はマイだよ!よろしくね!」
「あ、えっと、レイ・ヴィット……いえ、レイです。よろしくお願いします」
いまだ状況が理解できないまま返事を返す。
しかし、悪くはない状況であることは確かだった。
「おう!……で、さっそくで悪いんだがよ、おめぇさん。なんであんなとこにいたんだ?まだ子供だろうによ?」
「あの辺りは魔獣が多くて私たちでも近づかないです」
「レイって私たちと同じくらいだよねー?」
それを聞かれてすこし顔が歪むのがわかる。
思い出すだけで忌々しい、嫌な記憶だ。
「あー、嫌なら言わなくてもいいぞ?」
そんな俺を察してかガイさんがバツの悪そうに言う。
「……いえ、助けてもらった身の上でこんな話をするのもなんですけど」
しかし俺は話し始めた。
もしかしたら立場を話して同情してほしかっただけかもしれない。
だから、俺は包み隠さず、すべてを話した。
貴族の生まれの事、魔力がないこと、そして捨てられたこと。
そして、すべて話し終わり、静かに顔を上げる。
ガイは怒っていた。
「人間のやろう……魔力がなくても我が子は我が子だろうが!そんなこともわかってねぇのか!?」
どうして怒っているのかわからなかった。
いくら俺が子供だったとしても、まず俺は人類であり、赤の他人だ。
それなのに、ガイはそれが自分のことであるかのように、怒っていたのだ。
「ねぇお父さん。このままじゃレイがかわいそうだよ」
「そうです!このまま捨てられたままなんてあんまりです!」
ミナとマイも心配そうに声を上げる。
どうしてこの人たちは……どうしてこんなにも俺のことを。
涙が出た。
人のことを恨み、自分の理不尽さを恨んでいた心に三人の優しさが嫌でも染み渡る。
「すまねぇ、嫌なことを思い出させてしまったな」
「大丈夫?もう私たちがいるから安心して!」
「お父さんは私たちを捨てるようなことはしないです!」
「当たり前だ!お前たちが何になっても俺の娘であることは変わらねぇんだ!」
そんな会話が当たり前のように聞こえてくる。
それは、家族の本来の在り方のようで……。
あぁ、俺も単純だ。
これだけのことで、この人たちのことを信頼して、好きになったんだ。
俺はこの人たちに恩を返したい。自分のすべてを賭けてでもこの人たちに報いたいと思ってしまったんだ。
「なぁ、おめぇさん…いや、レイよ。よかったら家に来ねぇか?」
それは予想外の提案。
様々なことが一気に起こりすぎて、まだ自分でも消化できてないことがたくさんある。
纏まらない思考の中、捨てられて失望の淵に落ちた自分がすぐにこうして救いを求めようとしていることに思わず自嘲を漏らす。
しかし、その時の俺はそれに対する答えを一つしか持ち合わせていなかった。
そしてこれが俺のこの先の人生を大きく変える転換期になったことは言うまでもないだろう。
同情してください(真顔)
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