第四週:ゲーセンでリアル格ゲー!?
ドカドカと迷惑極まりない音と共に現れたのは、見るからにガラの悪そうな三人の男達だった。
「おまえらインチキしやがったな!?」
いきなり胸倉を掴んできそうな勢いだけど、残念!椅子にはまた千加が座り直してる。
って、もともとインチキしてたのはそっちじゃないか!…とは、小市民のオレには面と向かって言えません…。
ああっ、『彼』なんてガン無視で向こうの台に行こうとしてるし!
そんなに対戦したいのかよっ!?
「なんだおまえ、なに勝手に逃げる気でいるんだ」
…案の定捕まってるし。
しかし、『彼』は相手が誰であろうと関係ないようだ。
バキッ
彼は肩に手をかけた男を、振り上げた拳で容赦なく殴り飛ばした。
身長こそ彼には及ばないが、体格は彼の一.五倍はある男は、ガコッと派手な音を立てて、対戦台に体当たりした。
うはあっ、これは痛い!
でもそれはヤバイって…。
「! てめえ、なにしやがる!」
「汚い手で俺に触るからだ」
吐き捨てるような彼の言葉に、男達の顔がみるみる真っ赤に染まる。
ここまでくると、アッパレな正直者だ。
…願わくば、周囲の状況を考慮してもらいたいところだけど。
「この野郎!何様のつもりだ!?」
乱暴に胸倉を掴まれても、彼の表情は変わらない、というかさらに深く眉間に皺が刻まれる。
すでにオレ的には男達よりも彼のほうがずっと怖い。なにをするか判らないという意味も含めて。
「ぐはっ」
次の瞬間、彼の胸倉を掴んでいた男がその場に屑折れた。
展開が早すぎてなにが起こったのかオレには判らなかったけど、男が腹を押さえているのを見るかぎり、どうやら彼の拳が一撃入ったのだろう。
「俺様だ」
彼はそう言うと、止めに床に蹲る男を爪先で蹴り上げた。
「!? なにしやがる!」
そのセリフ、二回目だぜ!…それはともかく。
呆気なく仲間をやられて一瞬惚けていた他のヤツらは、ほぼ同時に立ち直ると、一斉に彼に向かっていく。
彼は忌々しそうに舌打ちすると、すぐ側にある椅子を片手で持ち上げた。
すげえ、力持ち…って、感心してる場合じゃないし!
さすがに騒ぎを聞き付けた店員が向かってきてるから、これじゃこっちまで補導されるっ!
やめてくれっ、オレは皆勤賞を狙っているんだ!三年間皆勤したら高級万年筆セットがもらえるんだよ。高級だぜ高級!カッコイイ響きだ。
「!? なに…」
「逃げるのも勝ちって言うだろ!!」
抗議の声を上げる彼の腕を力いっぱい握って、オレたちはその場からトンズラこいたのだった。