プロローグ
BLというには、あまりにもゆる〜くぬる〜い作品ですが、男のコ同士のいちゃいちゃが苦手な方は避けてくださいませ。
ジリリリリン!
黒電話のけたたましい音とともに、オレ…橋谷綱紀はガバッと飛び起きて、まだ鳴り響くケータイの目覚ましを止めた。
勢いよくカーテンを開けると、朝日のまぶしさに目がチカチカする。
昨日の天気予報がバッチリ的中!本日は快晴なり。
Tシャツとハーフパンツをポイッポイッとベッドに放り投げて、制服のズボンを穿きシャツを羽織ってその上にブレザーを引っ掛ける。
おっと、ネクタイネクタイ…。
シャツのボタンを留めながら、バタバタと階段を駆け降りた。
そのまま洗面所に直行して、鏡の中の自分に唖然。
「うはー、なんだって今日に限ってこんなに寝癖が…っ」
いつもは制服を着る前に洗顔や歯磨きをして、寝ぐせは豪快に髪を濡らして直すところだけど、今日はなにしろ急いでる。実際に猫の手が借りられるなら借りてしまいそうなほど急いでいる。
歯ブラシを口に銜えつつ、姉貴の寝ぐせ直しスプレーをちょっと拝借。
ああ、フローラルな香り…クラスのヤツに馬鹿にされそうだな。
「ちょっと!ブレザーに歯磨き粉つけないでよ。落とすの大変なんだから!」
お袋がお玉片手に覗いてきたので、
「わはっへうっへ!(わかってるって)」
と返事をしたところ、付いたじゃねえかよっ!ここでまたタイムロス…。
紺色のブレザーに白いシミは目立つ。中学の学ランも目立ったけど。
どうして制服は濃い色が多いんだ?白だったらついても目立たないのにさ。
歯磨きが終わると濡れタオルでゴシゴシと顔を洗って終了!
え?洗顔フォームは使わないのかって?そりゃあ普段は使ってるけど、そんなことしてたらまた白いシミがつくだろ。
人間、一日くらいまともに顔を洗わなくても死なないから!
「弁当できてる!?」
「本当にあんたは、晴れた日も雨の日も慌ただしいんだから」
玄関で靴を履きながら叫ぶと、お袋は呆れながらスクールバッグを渡してくれた。
バッグの中には朝食用と昼食用の二つの弁当箱が入っている。
晴れた日の朝食は、学校に着いてから食べることにしているんだ。
結構な重量だけど、昼まで何も食わないでいられるわけがないし。
「いってきまーっす」
ケンケンと片方の靴を履きながら家を出た。




