01.競技祭前日
「皆さん、明日から競技祭です。上位10名に入れば、研修に行くことが出来るので頑張ってください。それでは、皆さん今日は、明日に備えてゆっくり休んでください。さようなら。」
『さようなら。』
「それじゃあ、ライ、帰ろう。」
「うん。」
あぁ、明日から競技祭か。
案外早いものだな。
僕がこの世界に来て、まだ2週間ぐらいしか経ってないのに。
「エマちゃん、ライちゃん、一緒に帰ろう。」
「リルさん、いいよ。一緒に帰ろう。」
あれ、いつからこんなに仲良いの。
前、エマさんって呼んでなかった?
まぁ、いいや。
それから僕たちは歩きながら、
「明日からは競技祭だね。緊張するよ。」
「うん、緊張するね。でも、出来ることをやるだけだって、ライは言ってるから。」
「へー。ライちゃんそんなこと言ってたんだ。」
「何?僕に何かよう。」
「いや、別に何も。」
「そう。」
「そういやエマさんは、どうやってライちゃんと知り合ったの。私聴きたいな。」
「あまり、いいものでもないよ。」
「いいの。私のパートナーのウンディーネとの出会いを、教えてあげるから。」
「わかったよ。そこまで言うなら、今から2週間ぐらい前のことで、私はパートナーを探しに街を出たの。そしたら、急に周りが眩しくなって、目を瞑ったの。それで、目を開けたら、ライが倒れてたんだ。これが私とライの出会い。」
「へーそんな感じに知り合ったんだ。私とウンディーネとの出会いはね、もう何年も前になるんだ。私は深い森に入ったんだけど、迷ってしまって、どうにか出ようとしたんだけど、大きな湖がある所に出たんだ。そこで、もう帰れないと思ったら、なんか悲しくなって泣いてしまったんだ。そしたら、ウンディーネが出て来たの。それで、私はウンディーネに案内してもらって、森から出れた。これが、私とウンディーネの出会い。」
「ウンディーネとはいつ契約したの?」
「えぇーと、私も2週間ぐらい前かな。」
「そうなんだ。あっ、私こっちだから。」
「うん、わかった。それじゃあ、明日頑張ろうね。」
「うん、バイバイ。」
別れてから、しばらくたった後
「ライって、どこから来たの?」
「それは…。」
言ってもいいんだけど、信じてくれないんだろうな。
「言ってくれないの?」
「日本。」
「にほん?どこの国なの?」
「この世界とは別のところにある。」
「異世界ってこと?」
「うん。」
「それじゃあ、どうやって来たの?」
「僕は、最初に会ったときに人間だと言ったよね。」
「うん。」
「僕は、日本で人間として暮らしていたんだけど、僕は妹を助けて死んだんだけど、気づいたらこの世界にいた。なぜかはわからないけど。」
「そうなんだ。不思議だね。それで、ライは、悲しくないの。家族ともう一生会えないんだよね。」
「悲しいけど、今はエマがいるから大丈夫だよ。」
「そう。この話は終わり!それじゃあ、帰ろう。」
家に着き、ご飯を食べ、お風呂に入り、エマの部屋に行き、
「明日はいよいよ、競技祭。ライ頑張って、10位、いや1位を目指そう。」
「うん、頑張ろう。今日はもう寝よう。」
「そうだね。おやすみライ。」
「おやすみエマ。」
今の僕では多分10位にはなれないし、エマの邪魔になる。
それなら、僕は限界を超える。