06.重大発表
「エマ。目覚めたか。」
「ここは?」
「学園の保健室だよ。」
「ヴェロニクさんとの勝負はどうなったの?」
「覚えてないのかい?」
「うん。ファーフニルに魔法を撃ったとこまでは覚えてるんだけどね。」
「勝ったよ。ヴェロニクさんは降参したんだよ。」
「そうなんだ。勝てたんだ。」
「うん。僕たちは勝ったんだ。でも、ヴェロニクさんはまぐれで勝てたんだと言っていた。」
「そうだね。運が良かったのかもしれないね。」
「まぁ、でも勝ちは勝ちだよ。また、これからも頑張ってまぐれじゃないんだって思い知らせよう。」
「うん。そういや、私はどうして倒れたの?」
「魔力の使いすぎだって。あんな強い雷魔法を撃ったんだから、当たり前だよ。」
「っ!」
「どうしたの?エマ。」
「そうだ私、ライに魔法撃ったんだ。ライは大丈夫だったの?」
「うん。無傷。それになぜか、エマの雷魔法を撃たれた後から体に電気を帯びることができるようになった。」
「よかった。ライが死んだらどうしようって思って。」
僕が魔法を撃てと怒鳴ったから、エマはつらい思いをすることになったんだ。
謝らなくちゃ。
「エマ。謝らなくちゃいけないことがあるんだ。」
「何?ライ、私に何かしたの?」
「僕は君に怒鳴った。君は僕のことを心配してくれたのに、僕は君に無理矢理魔法を撃たせた。エマ、ごめん。」
「うん。大丈夫だよ。ライは無事だったから、それに、あそこで魔法を撃たなければ私たちは、負けてたんだよね。」
「それは、確かにそうだけど。僕は君を怒鳴ったんだよ。」
「いいの。私、今まで怒鳴られたことなかったの。お父さんもお母さんも私のことを見てくれなかった。ライが初めてだったの。私のことを見てくれたのは。私は嬉しいんだ。ライに慰められるのも、怒鳴られるのも、全部私のことを見てくれてるから、そういうことをしてくれるんだって。だから、ライ。私とこれからも一緒にいてね。」
「当たり前じゃないか。これからもずっと一緒だ、エマ。」
そう言い終わった後、またエマは眠ってしまった。
「ふぁ〜。」
どうやら、僕も眠たくなってしまったようだ。
エマが起きるまで寝よう。
それから、何時間たったのだろうか。
「ライ、起きて。」
「なぁ〜に。エマ。」
「家に帰ろう。もう、夕方だよ。」
僕は、窓の方を見る。
「本当だな。エマ、もう体調はいいのかい。」
「うん。」
「わかった。それじゃあ、帰ろう。」
僕たちは家に帰った。
そして、いつものように朝を迎え、学園へ行き、教室に入る。
「おはよう。シルヴィさん。昨日の戦いすごかったよ。それとライちゃんもおはよう。
「おはよう。えーと。」
「リル・パトリシアよ。」
「パトリシアさん。改めておはよう。」
「リルでいいよ。」
「わかったよ、リルさん。私もエマでいいよ。」
「うん。そうするよ。そうだ、エマさん。今日先生から重大発表があるらしいよ。」
「重大発表?何だろう。」
「それは、わからないんだけど、重大なことがあるのは分かってるわ。」
「そうなんだ。教えてくれてありがとう。」
「礼なんていいよ。友達なんだから。」
「友達?」
「うん、私とエマさんは友達。」
「友達。」
「それじゃあ、そろそろ席に着こう。先生が来るよ。」
「うん。またね、リルさん。」
僕たちは席に着いた。
先生はすぐに来た。
「おはようございます。皆さん。今日は重大発表があります。1週間後に、競技祭が開催されることになり、そして、上位10名にはこの街の代表となり、各街々の上位10名と研修に行くことが決定しました。」
なんで、こんなめんどくさいことするのかな。
こんなこと言ったら、エマは上位10名に絶対入ろうとするじゃん。
「ライ。上位10名には絶対入ろうね。」
ほら来た。
「そうだね。入ろうな。」
僕たちは、新たな目標を決め、進んで行く。