05.練習試合
今日から練習試合が毎日ある。
はっきり言って、勝てる気が全くしない。
どんなに能力が高くても、戦いに慣れてもないし、モンスター最弱のスライムだし。
はぁ、どうしたもんかな。
「ライ!今日から練習試合だね。頑張ろうね。」
「元気だなぁ。緊張とかしないの?」
「してるけど、ライとなら大丈夫な気がする。」
僕とても心配なんだけど。
僕たちはご飯を食べて、学園に向った。
「ライちゃん、今日の練習試合頑張ってね。応援してるから。」
そんな期待されてもなぁ。
「あら、シルヴィさん、逃げずに来たのね。どうせ、負けるのだから来なくてもいいのに。」
「ヴェロニクさん。私たちは負けないよ。」
「最弱のスライムが契約モンスターのあなたに、負ける人なんているのかしら。」
「エマ。気にすることないよ。今は僕たちが出来ることを精一杯するだけ。」
「うん。そうだね、ライ。ヴェロニクさんも負けないようにね。」
エマ、そんなに挑発しなくても、いいのに。
「まぁ、いいかしら。負けないように、精々足掻きなさい。」
ヴェロニクさんは歩いていく。
僕たちも歩いていく。
教室に着き、僕たちは自分の席に座る。
僕はまた、皆に取り合われていた。
僕の身にもなってほしい。
で、そんなこんなで先生がきた。
「今日は練習試合の1日目。気合いを入れて取り組むように。練習試合の試合表はこの紙に書いてある。後でちゃんと、見るように。」
『はい!』
僕たちは、試合表を見た。
僕たちの練習試合相手は、ルイーズ・ヴェロニクだった。
無理じゃね。
1戦目から、勝てる気がしない。
「ライ。頑張ろうね。」
「うん。」
エマは勝つ気満々だな。
「ライ。それじゃあ、試合会場に行こう。」
僕たちは、練習試合の会場に向った。
「結構人来てるね。」
「うん。そうだね。」
練習試合なのに、観客席がほとんどいっぱいだった。
「ライ。皆の戦いを見よう。」
「そうしますか。」
僕たちは、試合が始まるまで、観客席で戦いを見ることにした。
皆、強い。
モンスターの長所を活かした戦い方をしていた。
僕の長所ってないのに等しい。
これ、勝てるのかな。
次々と、試合が消化されていった。
そろそろ、僕たちの出番だ。
「行こう、ライ。勝ちに行こう。」
「うん、絶対勝とう。」
この勝負勝てば、かなり調子が出てくるはずだ。
僕たちは、試合のステージに立った。
「シルヴィさん。本当に勝てると思っていますの?」
「勝てるかはわからない。でも、勝ちに行く。」
「そうですか。手加減はしませんわよ。」
「それでは、両者とも準備はいいですね。」
『はい!』
「試合始め!」
試合が始まった。
僕たちは、ファーフニルを狙う。
はっきり言って、1対1ずつでは勝てる気がしない。
ヴェロニクさんには、悪いけど、あなたの相手はしない。
というか出来ない。
僕は真っ先に分裂し、ファーフニルの口、目を塞ぐ。
炎なんか吐かれたら、ひとたまりもない。
「エマ。ファーフニルに風魔法を。」
「うん。分かった。シュトュルム。」
ファーフニルに風魔法だけでは、絶対倒せない。
なら、何かを足すだけだ。
風に最も相性のいいのは、炎だ。
僕は、ファーフニルから、離れ炎を吐く。
この炎はリザードマンのだ。
リザードマンの炎は大して強くはない。
だが、風魔法と併用し使えば、火力は上がる。
ファーフニルに直撃した。
これなら行けるはず。
でも、ファーフニルには大してダメージが通らなかった。
「エマ。あまり、ダメージが通らなかった。どうする。」
「ちょっと待って。考えるから。」
「そんな簡単には考えさせないわ。」
ヴェロニクだ。
どうする。
何か足止め出来る方法は。
足止め、足を止めるだけなら。
「エマ。俺に向って、初級の水魔法を撃って。」
「早く。」
「分かったわ。クリエイトアクア。」
僕は、水を全て吸収する。
水を吸収した事で、巨大化し、分裂し、ヴェロニクの足を止める。
よし、足止めは出来た。
でも、足止めの時間は限られている。
どうすれば、ファーフニルを倒せる。
何かないか。
ドラゴンの弱点は。
弱点じゃなくても、ファーフニルの炎をを封じるには。
また、口に張り付くか。
いや、それだけでは。
炎を吐かせないために、口を使えなくさせるには。
凍らせる。
凍らせるぐらいしかない。
「エマ。今からファーフニルの炎を封じる。だから、ファーフニルを一撃で仕留めることが出来る魔法を頼む。これを逃せば勝てない。」
「分かった。」
よし。
僕は、体を分裂し、その体を踏み台にし、跳ぶ。
ファーフニルの顔にちょうど着地した。
ファーフニルの口に入り込み、水を吐き、そこから、冷気を吐く。
これで、炎は吐けないはずだ。
僕は、エマにテレパシーを送った。
テレパシーは相性100にしか、使えない技。
「エマ。強力な魔法を撃て。」
「でも、口の中にはライが。」
「僕の事はいいから、撃て。」
「嫌だ。」
「撃てよ。早く。」
僕は初めて怒鳴った。
「分かった。死なないでね。『天より轟く雷鳴よ、怒り狂い、一条の光となりて、眩い閃光と共に振り下ろせ。』雷豪雷覇」
エマが放った雷はファーフニルを一撃で仕留めた。
それで、僕はと言うと、雷を吸収し、ファーフニルの口から出ていた。
まだ、戦いは終わってない。
「ヴェロニクさん。まだ戦いますか?」
エマは問う。
「降参しますわ。でもいい事、まぐれで勝てたからといって調子に乗らない事ね。」
歓声があがる。
「久々に面白い戦いだった。」
「スライムが炎とか、水吐くとかありえないだろ。」
「まさか、ファーフニルチームが負けるとは。あのスライムのチーム一体何なんだ。」
僕は、エマのところに行き、
「エマ。勝てたな。」
だが、エマの返事はない。
ドサッ。
エマが膝から倒れた。
「おい。エマ!大丈夫か。」
こうして、僕たちの初めての試合の幕は降りた。