03.スライムの秘密
エマはそれから涙が出なくなるまで泣いていた。
僕はエマに何か声をかけようとしたが、エマは泣き疲れて寝ていた。
「エマ、こんなとこで寝たら風邪引くよ。」
「ねぇ、エマ。起きてよ。」
どうしよう。僕の力ではエマを家の中に入れる事は出来ないしなぁ。
でも、まぁ一応持ち上げようとしてみるか。
僕はどうせ、持ち上げれないんだろうと思いながらも、エマの体の下に入り、持ち上げようとした。
そしたら、持ち上げてしまった。
あれ、何でこんなに力があるんだ。
あの時は全く力がなかったのに。
あの時とは、僕とエマが初めて出会って、街に戻ろうとした時のことです。
僕とエマはオークに出会ってしまったのだ。
僕は、エマを守ろうとして、体当たりしたのだが、全く効かなくて、どうしようかと悩んでてそこから、僕は分裂することが出来て、オークの鼻と口に張り付き、窒息死するまで、ずっと張り付いた。
それで、無事にオークは死んだのだが、僕はもしかしたらオークの爪は売れるかもしれないと思って、オークの爪を剝がし取り、僕の体内に取り込んだ。
もしかしたら、オークの爪が僕に何かをもたらしたのか。
僕は、オークの爪を取り込んだ場所を確かめたが、オークの爪がない。
もしかしたら、消化してしまったのか。
なら、なぜ僕はあんなに力があるんだ。
そうか、そうなのか。
もしかしたら、僕には取り込んだモンスターの能力を自分のものに出来るということなのか。
なら、なぜあんな力が出せたことにも納得出来る。
オークは力が強いから、僕はそのオークの力を自分のものにしたんだ。
もしかしたら、僕はモンスターを取り込むことで、強くなるのか。
それなら、もしかしたら、競技祭優勝出来るかもしれない。
それならまずは、家のドアを開けて、エマを持ち上げて、家に入れて、ドアを閉めて、カギ閉めて、エマを部屋に運んで、ベッドに寝かせ、僕も寝る。
それから、数時間が立ち朝になった。
僕が起きた時には、エマも起きていた。
「おはよう、ライ。昨日はありがとうね。励ましてくれて。」
「おはよう、エマ。気にしなくてもいいよ。僕はエマのパートナーなんだから。」
「今日はどこかに行くのかい。エマ。」
「うん。これから街の外に行って、モンスターと戦ってくる。ライも一緒に来てくれる?」
「うん。いいよ。何もすることないし。僕も強くならないとダメだからね。」
昨日、僕の能力が分かった。
なら、積極的にモンスターを取り込もう。
ということで、僕とエマは家を出た。
「エマ。あまり言いたくないのなら、言わなくていいんだけど、エマに昨日悪口を言った人の名前は何て言うの?」
「あの人のこと名前はね、ルイーズ ・ヴェロニク。あの人はねとても強いの。今年の競技祭の優勝候補の一人で、契約モンスターはファーフニル。」
「ファーフニルってまさか、ドラゴンの?」
「うん。」
前言撤回。
競技祭優勝できない。
で、またエマは口を開けてこう言った。
「ファーフニルも強いけど、ルイーズさん自身強いの。ルイーズさんはこの街、いやこの国、ヴァルヌスの10番に入るくらい強いの。」
「今の僕たちでは歯が立たないね。」
「うん。でも、勝ちたいの。勝って見返したい。」
「うん。絶対勝とう。」
僕たちは誓い合った。
必ず勝つと。