私の答え
「ごめんなさい。」
これが、私の出した答え。真中はまさか断られるなんて思っていなかったのかすごく驚いている。
「どうして?ちぃちゃんの言ってた城田睦月は俺だったんだよ?それとも何か理由があるの?ねえ」
まくし立てるように悲しそうな顔をして迫ってくる。
「今はまだ、城田くんと付き合ってるの。」
「あいつはちぃちゃんに特別な感情なんてない。」
「わかってるよ!!」
思っていたよりはるかに大きな声が出た。真中は驚いて黙ってしまった。私は少し落ち着いた声で話す。
「まだ、城田くんと付き合ってるの。だからまだ真中くんとは付き合えない。梓のことだってあるし、いろいろとやらなきゃいけないことがあるの。だから、ちゃんとケリをつけて、今度は私から真中くんに伝えにいくから。だから、それまで少し待っていて欲しい。だめかな?」
「……ううん。大丈夫。待つことには慣れているんだ。」
そういって笑った。私の、好きな笑顔だ。
真中はもう驚いた様子も、怒った様子も無かった。
ふと、空を見上げるとちょうど花火の終わりを告げる一番綺麗で一番大きな花火が上がった。思わず目を細めたら泣きそうになった。
「帰ろうか。家まで送っていくよ。そのくらいはいいだろ?」
真中は少し首を傾げて聞く。私は何も言わずに頷いた。
二人は無言で歩き出した。恋人らしいことはまだしない。できない。
これが、私の、答えだ。