疑問
目の前の真中は黙ってこちらを見ていた。掴まれている腕が痛い。
「真中くん…痛い……。」
「速水さん、君は…」
そこで真聖があっと驚きの声を上げる。
「悠陽くん、悠陽くんじゃない?!」
「なんだ、真聖くんか。久しぶりだね。」
なぜ、真中と真聖が知り合いなのか、私はただただ驚いていた。
「あのとき以来だよな!ほらあの、病院で……」
そのとき真中は必死に真聖を止めた。でも私には聞こえた。
「…病院……?」
「…………。」
真中はなにも言わない。でも真聖が病院に関係しているのなんてあのときしかない。
「真中くん…ねえ、病院って……。」
「ごめんね、ちぃちゃん。場所、うつそうか。」
なにがなんだかわからなかった。私はただうなづくしかなかった。
「ごめん、悠陽くん。俺、その辺にいるから終わったら声かけて……いや、俺帰るわ。ねーちゃんのことよろしく。」
真聖はバツが悪そうに真中に謝ると来た道を戻っていった。
「真聖……!」
私は追いかけようと思ったけどそれは真中に阻まれた。
「お願い、俺の話を聞いてほしい。」
「話を聞く必要なんてないよ。千尋ちゃん、こんなとこでなにしてるの?真中とデート?」
そこには城田くんがいた。さして怒っている風もない。悲しい風でもない。彼氏ってこんなものなの?
そのとき真っ暗な空に一輪の花が咲いた。