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酔ってない




「あやちぃ!!飲みすぎだよぉ!」



一時間が経過した頃


シャワーを浴びてでてきた


シロが目にしたのは



空いた缶が4本と


赤い顔で寝転がってる


あやなだった




「んぇ・・シロ?」



「起きて!もうすぐ男の人きちゃうよ!」



「シロ~いい匂い~」




えへへへ~と笑いながら


シロに抱きついたまま離れない



状況に理解できずに


必死にはがそうとするも


そんな意図などいざ知らず


あやなはそのまま離れようとはしなかった




「あと15分しかないよ・・あやちぃ・・」




とりあえずどうにかしようと考え


当初の予定通り


クローゼットの中に寝かせておくことにする



それもなかなか一筋縄ではいかなかった


離れないあやなを


必死ではがして


寝かしつけるのは


困難どころの話ではなかった




「お酒弱すぎだよ・・・」




やっと大人しくさせたところで


ちょうど玄関のチャイムが鳴った




「あ、もうきちゃった!」



急ぎ足で玄関へ向かい


その男の人を招き入れた






それからは


穏やかな時間が流れた


男はあやなが心配したようなことはなにもなく


談笑でシロを癒し


初めのような警戒心も薄れ


昔の友達のように接していた




きっともう忘れていた



その闇に隠れてた存在に






ゴトゴトッ





いきなり二人の背後から


大きな物音がした




「え・・なんだ?」




「あ!!」



シロは思い出したように


慌ててクローゼットのドアを開いた


そこには


明らかに不機嫌そうな少女が一人


ちょこんと座っていた




「・・・・・・」




男は目を丸くして


シロとあやなを交互に見つめていた




「・・・誰」



喉の奥からうなるように出した声に


シロはただ怯えながら答えた



「誰って、今日呼ぶ予定だった男の人だよ」



「・・・・・」



激しく睨みつけた


その視線


シロはそんなあやなを見るのは初めてだった




「・・・どうして笑ったの」



「え?」



よく聞こえないという風に


シロはあやなに


顔を近づけた




ふいに


立ちあがった何かに


シロの体は覆い尽くされた



「笑わないで・・・」



耳元から聞こえる


その切ない声


それは


毎日のように聞いている


威勢のいい張った声ではなかった




おいていかれた子供のように


ただ一言


紡ぎだされた言葉


それはシロの心をしめつけるのに


十分だった



「あやち・・?」




「シロは私以外に笑っちゃだめなの」






ドサッ





何が起きたかわからなかった


シロの景色は急に宙を舞い


天井のようなものが


目の前を覆った



それがクローゼットの中だと


気付くのに


そう時間はかからなかった





ガチャ




玄関のドアがしまる音がする


どうやら男は逃げたらしかった




「ねぇ・・・このままじゃ動けないよ?」



上に乗ったあやなをのけようとするシロ


だけど


顔をふせたまま


あやなは微動だにしなかった




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