秘密の暗闇
「ほうほうここがシロの家ですか」
あやなの目前に見えるのは
パッと見10階建ほどのマンションだった
「やけにわかりにくい地図だったけど
よくたどり着いたな・・・私」
きょろきょろ周りを見渡しながら
ゆっくりとその入り口をあける
「えーと、1-F号室ね」
階段を上るその足取りは軽く
今から自分が家に行くその意味を
忘れてしまっていそうなほど
彼女は笑顔だった
「シロの家かぁ、初めてだなっ
てかやっぱりアニメグッズとかいっぱいなのかな」
「あ、あやちぃ!」
部屋の前にはシロが立っていた
「シロ~やっほ~!」
駆け足で寄っていき
嬉しそうな笑みを浮かべる
当然のように家の中に入っていくあやなに
シロもいつもの笑顔で迎えた
「そういえば・・・男はいつ来るの?」
「ん~、あと2時間くらいだと思うよ?」
それを聞いたとたん
にやっと小悪魔のような笑みを浮かべたあやなは
机をはさんでシロと反対に座った
そしてかばんからなにやらゴソゴソと
袋に入ったものを取り出した
「ん?どうしたの?」
「ふふ~ん・・・じゃーん!!」
あやなが取り出したのはお酒だった
「まさかっ・・今から飲むつもり?!」
「だーいじょうぶ!シロはちょっと飲むだけでいいから!」
「いや・・そういう問題じゃないよ」
突拍子もない行動に
呆れ半分どうしていいかわからないシロに
あやなは尚も言った
「だって、二人が目の前で飲んでるのに
私だけ飲めないなんて我慢できないし」
懇願するように見つめれば
観念したように
「はぁ・・しょうがないな」
シロは笑顔でそう答えた