あやなとシロ
「はぁああ?!宅飲みぃ!?それも男と二人!」
「あ、あやちぃ落ちついて・・・」
あやなは傍らにあった携帯から目を上げると
きっ!とシロを睨みつけた
「まーた断れなかったんだ?」
「う・・」
眉をたれ伏し目がちにあやなを
見上げる目が申し訳なさそうに
うるみを帯びていく
ここはファミレス
学校を終えた二人は
帰り道にあるここによって
お茶して帰るのが
毎日の日課だった
「はぁ・・・」
この顔には敵わないと言いたげに
眉間にしわを寄せ
あやなは頭を抱えていた
「ご、ごめん」
「シロは優しすぎるんだよ!たまにはガツンて言ってやらなきゃ!」
「わかってるんだけど・・・」
わかってる。わかってるよ。直したいけど直せないんだよね・・
あやなは携帯をかばんに入れると
まっすぐにその少女と向かい合った
「で?その男の人とはいつ会うの?」
「来週です」
まるで怒られた後の子供のように
シロは震える声で言った
そんな様子を見て何かを決心したのか
あやなは立ちあがって言った
「シロだけじゃ心配だから私もいる」
「え・・・」
「だーかーら!私もいるって言ってるの!」
堂々と言い放つあやなに対し
先ほどよりもオロオロと困惑しだすシロの
対照的な二人が周りの目にはどう映っていたか
わからない
でも、たしかにそのとき
この瞬間が二人の運命を狂わせたのだと
当人たちは後々知ることになる
「ま、私に任せなって!シロより体力自信あるし、
いざとなったら釘バット持って参戦ってね。」