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第1話 手紙

 俺はこの手紙があることをずっと前から知っていた……吾郎さんがここを出ていく五日前ぐらいに俺に直接渡した手紙だったから。

 吾郎さんはこれを渡すときに一言だけ言った

(シン)がもう少し大人になったら読んでくれ」

 その時は何だか分からなかった。

 俺が大人になってから渡せばいいのにとか、直接言えば良いのにとか思ってた。

 でも五日後にはそれが分かった。 吾郎さんが出ていった日だ……

 吾郎さんは俺が居ない間に出ていってしまった……それはあっという間だった。

 その日から何日かは家から出られなかった。

 もしかしたらすぐ帰ってくるかもしれないし……そう思いながらずっと家に閉じこもってた。

 机の上にメモがあるのを知りながらも必死に帰ってくるって自分に言い聞かせて……

『心……すまない。俺はもう帰ってこない。強く生きるんだぞ』

 吾郎さんらしい文面のそのメモは今も持っている

 涙でぐしゃぐしゃになっているが捨てる事はできなかった

 これを捨ててしまうと吾郎さんと凄い離れてしまう気がしたのだ。

 

 そして、それからが俺の戦いだった。

 この死の街で生きてくのは簡単なものじゃない

 油断すれば殺される、そんな所なのだ

 寝るときだって注意しなくてはいけないし、誰かが可哀想だと助けてくれるような所でもない。

 吾郎さんに会えたのは凄い運が良いことだったのだ。

 だから、吾郎さんには感謝してる。

 そりゃあ、最初は恨んだんだけど、よくよく考えてみれば感謝しなければいけないと分かった。

 

 それでも、完全に恨みや悲しみは消えることがなく、ずっと怖くて読むことはできなかった手紙……

 その手紙の封を俺は今開けたのだった

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