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伝説の賞金稼ぎ

気がつくとオレは砂漠に倒れていた。目を覚まして起き上がるとサボテンと矢印型の案内板が見えた。オレは自分が何者か思い出せなかった。西部劇のガンマンのような格好をしている。テンガロンハットをかぶってるとはいえ太陽がカンカンに照り付けていてここにいたら干からびて死んじまう。タウンと書かれた案内板に従って右に進む。しばらく歩くと西部劇の街並みが見えてきた。

馬小屋、酒場サロン、雑貨店などが見える。まるで映画の世界に迷い込んだみてえだ。喉が渇いていたので酒場に行く。太っちょのマスターにビールを注文した。財布は持っている。くしゃくしゃの紙幣と汚れたコインがいくらか入ってた。木樽きだるに並々注がれたビールを一気飲みした。一口目が痺れるほどうまい。プハー、生き返る。五臓六腑に沁みるぜ。店内は賑わっていてオレのほかに30人ほどいた。トランプ遊びに興じながらピザやソーセージ、パスタ、カレーに食らいついている。みんな同じようなガンマンの格好だ。互いに銃を自慢しあってる連中もいる。

「ヘイマスター。オレが誰だかしんねぇか?記憶喪失でよ」

「知らん。どっかの賞金首だろ。保安官には見えねぇ。悪党面だ」

「そうか。賞金首か」

オレはアゴをさする。ひげがもじゃもじゃだった。命を追われる身だったのか。急に緊張する。ここにはガンマンがすし詰めだ。オレはいつ殺されてもおかしくない。

「怖くなったのか?顔色がわりーぜダンナ。けど安心しな。このバーは賞金首の溜まり場だ。ここで銃を撃てばすぐに他のやつらから撃たれる。場を乱す奴はこの世から退場がここの暗黙のルールなんでな」

「それを聞いて安心したぜ」

オレはにかっと笑う。もしオレを撃ち殺してもその後、29人相手にしなきゃならねぇんならそんなバカな真似する奴はいねぇわな。すでに銃を抜いてる奴やテーブルに置いてる奴もいる。こりゃまともな神経じゃ撃たねぇわ。ほっとしたら小腹が空いてきた。オレはソーセージを頼む。大好物だ。なぜか覚えてる。マスタードをたっぷりつけて焼きたてのソーセージに食らいついてるとウェスタンドアがキィっと開く音がした。もぐもぐしながら振り返ると腰に両手を当てたガンマン姿の美少女が強気な笑みを浮かべていた。超ミニのジーンズを履いているので太ももがまぶしい。年齢は15ぐらいか。長い金髪をなびかせ青い輝く瞳をしている。

「やーやー我こそは伝説の賞金稼ぎハクア様なり!全員成敗つかまつる!」

みんなポカンとして呆気に取られてる。ハクアは両腰に差している銃を抜いた。そして撃つ。店内にいた賞金首の1人が額を撃ち抜かれてぶっ飛んだ。おそろしく正確な一撃だ。さらに座っていたガンマンの心臓を銃弾が貫く。男はひっくり返った。また一撃だ。ハクアは必中必殺の銃弾を連射する。瞬く間に店内は血の海と化した。反撃しなければ全員死ぬ。オレはカウンターを飛び越えて身をかがめた。銃を抜いて顔の前で両手持ちをする。やらなきゃやられる。カチッと殺人スイッチが入った。銃弾の音が激しく鳴り響く店内の様子をうかがうと倒したテーブルを盾にしてハクアとガンマンたちが撃ち合っている。ハクアは銃弾が切れたのか弾帯から予備の銃弾を取り出し装填している。ぺろっと舌なめずりして実に楽しげな表情だ。手慣れた感じで装填を終えると盾にしたテーブルをジャンプで飛び越えて両手に持った銃で対面にいるテーブルを盾にしていたガンマンたちを上から撃ちまくる。なんて跳躍力だ。カンガルーかあいつは!外に逃げようとするガンマンたちの背中をハクアは撃ち抜く。

逃走も許されないのか。誰ひとり逃すつもりはなさそうだ。オレは立ち上がりハクアを狙って撃つ。ハクアは横転して銃弾をかわしてみせる。片膝立ちで反撃してきたのでしゃがんでかわす。今みたところ生き残りはオレをふくめて5人だ。隠し持っていた銃で応戦していたマスターも死んでいた。もう25人やられちまってる。このままじゃ全滅だ。オレは叫ぶ。

「いっせいにハクアを撃つぞ!いくぞ!いっせーのーで!」

オレは立ち上がった。テーブルを盾に隠れていたほかの4人も同時に立ち上がっている。ハクアは囲まれていた。彼女はちょっと驚いている。よし!だれかが犠牲になってもこれでハクアは撃ちとれる。ナイス頭脳プレイだ。オレたちはハクアに向かって撃ち尽くす勢いで銃弾を連射した。ハクアは後ろにのけぞって銃弾をかわすと今度は低くしゃがみこんで銃弾をかわし、さらに銃を置いて逆立ちしてかわす。サーカスプレイだ。銃弾が止まって見えているのか!銃弾を撃ち尽くして呆然とするガンマンたちを拾った銃で簡単に撃ち殺す。ふはは。こっちは当たらねえのに向こうのはぜんぶ当たる。

馬馬鹿げたガンアクション映画のようだぜ。もうおしまいだ。オレが最後の一発を撃とうとした瞬間ハクアが言った。

「待って。チャンスをあげる。表にでなさい」

ハクアはきびすを返して酒場を出ていく。オレは背中を打てなかった。撃とうとしたらハクアが振り返ってオレの額を撃ち抜く映像がはっきりと頭に浮かんだからだ。

外に出ると銃をしまったハクアからタイマン勝負の申し出を受ける。お互い背中合わせに立ち10数えながら一歩ずつ離れていき10数え終わると同時に振り返って撃つよくある奴だ。結果はわかっていたが受けた。1秒でも長く生きたい。それだけだ。オレはあっさり勝負に負けた。ハクアは後出しだったが、オレの銃弾はハクアにかすりもせずハクアの銃弾はオレの心臓を貫いた。ハクアがカッコよく微笑む表情がまぶたの裏に焼きつく。前のめりに倒れると熱い砂のせいで顔があちぃ。涼しい風が吹いてきた。なにか聞こえる・・・


ガンアクション映画の主人公の撃った銃弾はヒットするのに敵の撃つ銃弾はノーヒットっていうのはあまりにも露骨すぎると笑っちゃうよね。監督も「こういうもんだろ?」って観客に問いかけてる気がする。主人公と相棒が多数の敵から銃撃を受けてるのにもかかわらず隠れもせず笑顔でアイコンタクトをとるシーンが3秒ぐらいあって「いやしぬしぬ!」って思ったこともある。結局相棒はしぬけど10回はしんでるね。多分デスペラード。コメディ映画でそれならいいけどシリアスでそれをやられちゃ確実に不意打ち喰らう。

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