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エピローグ
卒業式の日。校庭の桜が、風に揺れていた。
湊斗は、制服のポケットに手を突っ込みながら、理科室の前で立ち止まった。
「ここ、俺たちの基地だったな」
「科学部っていうより、秘密結社みたいだったよね」
陽翔が笑う。
「でも、ちゃんと科学してた。トリビアも、実験も、アニメも」
大翔が静かに言う。
「全部、私たちの青春だった」
結菜が、理科室の扉にそっと手を添えた。
扉の前には、誰かが貼った小さな紙があった。
《科学部、廃部。でも、アニメは最高でした。来年、科学部復活させたいです》
4人は顔を見合わせた。
「…誰か、見てくれてたんだ」
湊斗が呟く。
「伝わったんだね。科学の面白さ」
結菜が微笑む。
「俺たちの“承認欲求全開トリビア”、まさかの後輩に刺さったか」
陽翔が肩をすくめる。
「科学は、残る。僕らがいなくても」
大翔が言った。
4人は、理科室に一礼して、校庭へと歩き出した。
春の風が、桜の花びらを舞わせる。
科学部は、もうない。
でも、科学は続いていく。
4人の青春とともに、誰かの未来へ。




