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カトゥオール シアンティフク 10  作者: 双鶴


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制作開始

理科室の空気が、いつもと違っていた。

ホワイトボードには、湊斗が描いたプロット図。机の上には、結菜のラフスケッチ。陽翔の声の録音機材、大翔の資料プリント。科学部が、完全に“制作モード”に突入していた。


「湊斗、セリフ長すぎ。これ、声優泣かせだよ」

陽翔が台本をめくりながら文句を言う。


「科学トリビアを詰め込むには、どうしても説明が必要なんだよ」

湊斗が言い返す。

「たとえば、犯人が使った“冷却トリック”は、液体窒素で証拠を消すって設定。ちゃんと理屈が通ってないと、科学部の名がすたる」


「その理屈を、どうやって視聴者に伝えるかが演出の腕の見せどころ」

陽翔がニヤリと笑う。


「じゃあ、視覚的に見せよう。証拠が消える瞬間をスローモーションで描いて、温度差の演出を入れる」

結菜がタブレットに描いたカットを見せる。


「それ、いい。あと、犯人が残した“謎の数式”はDNAの塩基配列って設定にしよう」

大翔が資料をめくりながら言う。

「A・T・G・Cの並びが、被害者の名前になってるってトリック」


「それ、理科の先生が喜びそう」

陽翔が笑う。


「佐伯先生、上映会来てくれるかな」

結菜がふと呟く。


「来るでしょ。俺たちの“最後の実験”だもん」

湊斗が言った。


「でも、これってさ…部活っていうより、文化祭のノリじゃない?」

陽翔が言う。


「文化祭のノリで、科学を本気で伝える。それが科学部らしさだよ」

結菜が微笑む。


「俺たち、モテないけど、科学ではモテるからな」

湊斗が笑う。


「それ、何回言うの」

結菜がツッコミを入れる。


「何回でも言う。俺たちのアイデンティティだから」

陽翔が胸を張る。


理科室には、笑い声とキーボードの音、ペンの走る音が響いていた。

科学部の最後の春は、わちゃわちゃと、でも確かに進んでいた。

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