プロローグ
春の光が、校舎の窓ガラスに反射して、理科室の壁に虹を描いていた。
湊斗は、窓際の席でぼんやりとその光を眺めながら、ふと呟いた。
「俺ら4人の付き合いも、いよいよ15年目だな」
陽翔が、実験器具を片づけながら笑う。
「幼稚園からずっと一緒で、気づいたら科学オタクになってた。モテないけど、科学ではモテたな」
「それ、誇っていいのか微妙だけどね」
結菜が、白衣の袖をまくりながら微笑む。
「でも、科学部のSNS、校内じゃ一番人気だよ。コメント欄、陽翔の毒舌ファンで溢れてるし」
「俺は毒舌じゃなくて、論理的なだけだ」
陽翔がむすっとする。
「論理的な毒舌って、ただの毒舌だよ」
大翔が静かに言う。
結菜は、3人のやりとりを見ながら、ふと立ち止まった。
「ねえ、私たち科学部引退だよね」
湊斗が顔を上げる。
「そうだな。つまり、俺たちが引退したら——」
「科学部、廃部」
陽翔が言った。
理科室に、静かな沈黙が落ちた。
科学部の歴史は、4人の幼馴染の成長の歴史だった。
自転車で街を巡り、SNSで科学トリビアを発信し、校内の人気者になった。
でも、肝心の新入部員は、ゼロのまま。
このまま終わるのか。
それとも——
「アニメ、作ろうよ」
湊斗が言った。
「は?」
陽翔が目を丸くする。
「科学トリビアを詰め込んだ、奇想天外なミステリーアニメ。上映会で新入部員を呼び込むんだ」
「それ、面白そう」
結菜が目を輝かせる。
「科学的矛盾がないように、構成は任せて」
大翔がノートを閉じた。
こうして、科学部最後の挑戦が始まった。
4人の青春と科学のすべてを詰め込んだ、伝説のアニメ制作が——。




