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【完結】乙女ゲームの表と裏  作者: あまつ冴
3 嫌がらせと騎士
7/25

>>>>手合わせの後

「もう〜降ろしてください」

恥ずかしさのあまり手で顔を隠した。手合わせ後、怪我のためフェルディオに抱えられて医務室に向かっている。ホントは怪我は大したことはない。地面に落ちる寸前に風魔法で衝撃を和らげていた。

「それにしても、君の剣捌きなら殿下を負かせることもできただろ?」

フェルディオはしっかり見ている。確かに負ける気はしなかった。

「それは、お嬢様が負けろと命じたからです」

フェルディオはイザベラのほうを見る。

「殿下が負けると、今度は下級生を相手にして、ボッコボコにしてしまうからです」 

「なにそれ。……それはなんというか……」


降ろしてくれないまま、医務室に着いてしまった。移動中、生徒に見られ笑われ、落ち着かなかった。


医務室のベッドに寝かされ、イザベラからは怪我の確認をされる。

「大げさです」

「そんなことないわ。小さい傷と打撲もあるわね」

剣には当たってはないから、地面に落ちたときだろう。フェルディオも小さな傷を見つけてはイザベラに教える。

「君は、吹っ飛ばれたときと、地面に落ちた時に魔法使ってたね。うまい演出だったよ」

フェルディオはいつまでいるんだろう。運ばれただけでも恥ずかしのに……

「2人とも、()()、砕けた口調でいいよ。私の素性はバレてるみたいだし、隠しっこなしってことで」

(なんか知ってるな)

治癒魔法に集中しているイザベラを睨む。ちらっと、私と目が合ったが治癒を続けている。

「何か聞きたいことでも?」

「1番の疑問は、………イザベラ嬢は殿下に冷たいんじゃないか?」

「私はこの国の国母となるために、婚約し勉強もしている。殿下のためではないのよ。それに」

治癒は終わり、ため息をつく。漸くフェルディオに目を向ける。

「あなたも見たでしょ?あの2人」

「ああ、」

「殿下は女にだらしないのよ。優しくする必要ないのよ」

「王族だから女は集まるしな」

2人の話を聞きつつ、傷が癒え起き上がる。体を確認すると、服が土で汚れてしまった。着替えは持ってないし、このまま帰るしかない。

「イザベラ嬢は2人をそのままにしておくのかい?」

「他の令嬢からの嫌がらせを私のせいにするのよ。これ以上関わったら次はありもしない罪で死刑にされるわ」

「婚約はやめないんだな」

「………」


上着を脱ぎ、窓辺で服についた土を叩くがたいして綺麗にはならない。

そんな様子をフェルディオは見ている。

「君は、身体強化なしで、あそこまで打ち合えるとは…息もあがってないし、」

打ち合うというか、殿下が一方的に打ってきたのが正しい。

「……師匠のおかげです」

「私の国では豪傑の鬼神と言われてるよ」

他国にも別名があるのか。どんだけすごいんだ……師匠。

「で、()()は剣と魔法どっち?」

「…………………」

剣の扱いもたけ、魔法も使えるのは疑問に思うのも無理はない。

「……どちらでもないです」

「え?」

まあ、そんなリアクションになりますよね。

「ナナは孤児だからよ」

イザベラはフェルディオに椅子に座るよう促す。私とイザベラはベッドに腰掛ける。

「孤児でも、選択の権利はあるだろ?」

それはフェルディオの国ではそういう考え方なのか。

「この国は、王族・貴族至上主義なのよ。平民はそんな権利は認められていない…ナナは選択儀式ができないから『どちらでもない』のよ」

「孤児は近衛騎士になれるのか?」

「まず無理ね。私が陛下にお願いして近衛騎士の所属にしてもらったの。一時的に男爵の位にしてもらってね」

お願いをすんなり聞く陛下にも、びっくりだったが、この件に口うるさくする貴族が出てくる様子もない。陛下が黙らせたのだろう。

この国の平民差別は根強い。平民だからと学園も行けないし、騎士試験も受けれない。私の近衛騎士は異例なのだ。

文句を言ってきた騎士をボコボコにしたこともある。へへへ…


「お嬢様。そろそろ…」

懐中時計を確認し、声をかけた。医務室を後にし、馬車まで行くの、だが…フェルディオがついてきた。

「あの…まだ何か?」

王子なんだよな?…ニコニコして、柔和な人。比較できるのがザッオールしかいないから、参考にはならないか。

「王城に行くなら、陛下にご挨拶をっと思いまして」

「急な訪問はできません。まず先触れを出してから…」

「大丈夫でしょ。挨拶くらいなら」

イザベラは立ち止まり、振り返る。…いいのか…?許可なく連れて行っても……あ、

「馬車には乗せませんから!婚約者以外の男性を密室の馬車に乗せたら、どんな醜聞が広まるか」

「えー……じゃぁ!君みたいに認識阻害を使うのはどうだろ?」

すかさず遮音を施す。とんでもないことをバラしやがった。

「だから、気をつけてねって言ったでしょ。さっさと行くわよ」

気をつける度合いが半端ない。フェルディオといっしょに王城へ行くことになった。

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