嫌がらせと殿下
生徒会入りしたことで、ますます嫌味を言われクラスも他のクラスでも針の筵状態に。そして、とうとう…教科書とノート、カバンも見るも無残な状態に。机には罵詈雑言が書かれていた。友達もいないから愚痴を言ったりできない。
……もしかして、この嫌がらせ………【悪役令嬢】イザベラ!?証拠はないけど、イベントどおりなら、生徒会の後からだから、タイミングは合ってる。イザベラは公爵。私ではどうにもできない。
ザッオールに会ったときに、涙が出てしまった。抱きしめて慰めてくれた。嫌味を言われていること、嫌がらせをされたこと、すべてはなした。もしかしたら、その主犯はイザベラではないか、とも。
推測の話も信じて、イザベラに怒っていた。こんな話も頼れるのもザッオールだけだ。
ザッオールは私とともに、図書室のイザベラのもとへ行った。
「なんですの?お二人揃って」
言語本をめくりながら、落ち着いた声で問いかける。
「リリアーナが嫌味を言われてるのは、お前のせいだろ!」
……ニュアンスが違う気がするけど、私の代わりに怒って行ってくださっているのが、嬉しい。
「教科書を破いたのも、お前が指示したんだろ!」
「………なんのために?」
イザベラはこちらを見ず、本を見ている。動揺も焦りもみえない。
「オレと仲良くしているから、嫉妬したんだろ」
「生徒会でいっしょだからと、いちいち嫉妬しません。嫉妬は狭量な人がすることです」
ザッオールは手に力が入り怒りに震えている。
「オレもそうだと、言いたいのか…?」
「そのようなこと、言ってませんよ。…まぁ殿下がそう思ったのなら、そうなのかもしれませんね」
怒りをあらわにし、強く噛み締めるとイザベラに掴みかかる。
「き、貴様!」
すかさずナナが間に入り、ザッオールの手を受け止める。
「殿下、落ち着いてください。他の者も見ています」
掴まれた手を振りほどくき、舌打ちをした。
図書室にいた生徒はどよめき、1番近くにいた生徒は外野の中に逃げ込んでる。
この騒動で、嫌がらせされた私と庇ってくれたザッオール。イザベラは嫌がらせに関与したことが噂され私には味方ができ、イザベラが肩身の狭くなるイベントだ。
「実際!私の私物は壊されました!」
「私がしたという証拠かなにかありますか?」
ここは乙女ゲーム、あなたは【悪役令嬢】だから、嫌がらせはあなたしかない!でもしているところも見ていない、イザベラの私物は落ちてない。
「あいまい、ですね。リリアーナ嬢」
フェルディオが近寄ってきた。
「殿下も、憶測で動いてはいけませんよ。王族ならなおさら」
「うるさい!」
モブなのにザッオールに意見している。どういうポジションなの?
「続けるなら。場所、変えませんか?」
さわやかな笑顔だけど、圧がある。
笑顔イケメンの一言により、図書室から移動することになった。イザベラも騎士もついてくる。
「あ、そうだ。以前言っていた『手合わせ』をしよう」
ザッオールの提案に、剣の訓練場に向かった。