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【完結】乙女ゲームの表と裏  作者: あまつ冴
2 殿下からのお誘い
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生徒会にて

 授業は共通科目と、オリエンテーションで選択した魔法の授業が始まった。あの時に会えなかった攻略対象者には会えたのは会えたのだが、あいさつだけで会話はないのに、令嬢からの嫌味は尽きることがない。【悪役令嬢】にも会えてない。「取り計らう」と言っていたのは本当で、学園長から相談を受けてくれる先生を紹介してくれた。


 アーサーを諦めきれず、探したり、追いかけたりしたが、交わされっぱなし。剣の訓練場を見に行ってもいないし、そもそも魔法の私では訓練場に入れる時間帯が限られている。


 他の攻略対象者とは何もないが、ザッオールには教室の移動時、登下校時、学食時に頻繁に会うようになった。孤児だからと貴族から避けされているせいもあり、友達もできず一人ぼっちだからと、気にかけてくれ、会話もするようになった。でも、ザッオールの側には【悪役令嬢】イザベラはいない。


 ザッオールにイザベラのことを聞いたが、「知らない」「どうでもいい」「妃教育だろ」婚約者なのに興味はないようだった。クロムエルも詳しくは知らなそう。

「愛想もなく、太々しい…愛せる気がしない」

「殿下…お可哀想」

たしかゲームではそんなセリフあったと思う。

「リリアーナは優しいな」

王子ではない、素のザッオールの笑顔にときめいてしまった。次第にザッオールの姿を目で追うようになった。


心がザッオールに傾き始めたころ。

「ぜひ、生徒会に入って欲しい」

ザッオールから誘われた。…!

これは完全なるザッオール『ルート』のイベント!

〜生徒会のお誘い〜

生徒会長のザッオールとの好感度から親密度に変わるイベント!

 生徒会には、生徒会長のザッオール、副生徒会長クロムエル、アーサー、ダイタナもいる。もちろん【悪役令嬢】イザベラも。ええ…と、このイベのあとから、言葉だけでなく、教科書を破ったり水をかけたりとエスカレートするはず。もしかしたら、このイベから嫌がらせが始まるのかな…。


 放課後、生徒会室へ向かった。ノックをしようとした時…

「なぜ、オレのいうことに従わない!?」

ザッオールの声だ。ずいぶんと声を荒げている。

「ですから、妃教育で生徒会の業務の時間がとれませんと、何度言ったら理解してくださるのですか?!」

イザベラだ。口調はきつい。ノックのタイミングが分からなくなって、2人の会話を聞くしかなかった。

「妃教育は陛下の命ですし、学園長にも陛下から話が通ってます」

「っ!」

「私が生徒会に入らなくても、優秀な方が大勢いるではないですか。殿下の人を見る目はとても優れていると私も、他の貴族からも言われてますのよ」

「そ、そうか」

ザッオールさすが!未来の国王なだけあって、身分や貴族の上下で見ないってことね。やっぱり【悪役令嬢】ねザッオールのお願いに応えられないなんて、私がザッオールを支えるしかない。

「失礼します、殿下。殿下は私が力になり、お支えします」

「…!」

イザベラが驚いているわ。ザッオールのお願いに応えられない貴女は不要よ。

「リリアーナ!ありがとう。よく来てくてた」

ザッオールは立ち上がり、私の側に来た。しかも肩に手を置いて引き寄せられた!わー……イザベラの前で〜こんなに密着していいんですか?

そういえば、物申す的な感じで入ってきたけど、生徒会メンバーはゲームどおりだ。やっとアーサーに会えたけど、前ほどのトキメキはないな。

「皆様!初めまして!生徒会に入るのことになりました。リリアーナ・ユシュナと申します。よろしくお願いします」

 アーサー、ダイタナ、クロムエル一人一人あいさつを返してくれる。……あと見たことのない男の人…

「初めまして、留学で今学期よりこの学園に来ています。フェルディオ。3年生で、殿下と同じクラスです」

この人もかっこいいな〜。でもゲームにいなかったと思うんだけど。モブかな?

「私は生徒会ではないですが、イザベラです。お見知り置きを」

はい、知ってます。【悪役令嬢】のイザベラ。ザッオールの婚約者。

「殿下、やはり…」


元孤児を生徒会に入れるのは反対です!婚約者わたしがいながらベタベタして!


みたいなセリフだった気がする。で、ザッオールが庇ってくれる…、流れ。

「反対するな!オレが決めたことだ!」

「殿下…まだ何も言ってません」

ザッオール…フライングですよ。肝心の嫌味セリフがまだなのに!

「私は…殿下の人を見る目は素晴らしいですね……の言おうとしましたのに」

「あ、そ…そうか…そうだろう」

ザッオールの誇らしげな表情もいいですね。

「生徒会に入れない理由もわかった。ただ、そこの騎士はなんだ?」

イザベラの横に姿勢正しく立っている…入学式時にもオリエンテーションに行く時にも、イザベラと共にいた女騎士。

「陛下のご厚意で私の護衛としてついています」

帯剣があるから、女騎士は«剣»ということか。ゲームでは騎士については触れてなかったな。初めてみる。

「近衛騎士の制服だな…女騎士なんか近衛でいたか?」

「いえ、私にも存じ上げません」

ザッオールもクロムエルも知らない…騎士。

「護衛をつけるにあたり、男性騎士では良からぬ噂がたってもいけないと、急遽女性騎士を近衛にしたそうですよ。ナナあいさつを」

「はっ!殿下、ごあいさつ申し上げます。近衛騎士ナナ。未来の王妃になるイザベラ嬢をお守りいたします」

あの制服は近衛騎士なのか。ゲームでは見れない物にワクワクするなー。

ナナという騎士が、国家紋章が刻まれた懐中時計を確認しイザベラに話しかける。

「申し訳ございません。馬車を待たせておりますので、失礼します」

「ああ…。ナナ!」

扉の前で立ち止まり振り返る。

「お前は«剣»か?」

「はい」

「今度、手合わせしてもらおう」

睨むような目で、口元は笑っている。

「恐れ多いことです」

「あら、ナナ。いいじゃない?殿下の剣技はすごいのよ」

ナナは常に無表情だ。騎士だからなのか、もともとそうなのかわからないが、笑えば可愛いと思う。

「…殿下、よろしくお願いします」

イザベラとナナは去っていった。イベントはクリアかな?

「クロムエル、ナナという近衛騎士のことを調べろ」

わかりました、と返事をした。

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