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お嬢様は結婚式にいくらしい

 春は近い……けれどもまだ冬。そんな季節の朝はつらい。ふとんの中は温かい。まるでかわいがっている動物がベットにもぐりこんでいるような温もりをボクは感じながら、うとうとしている。……そうだ。小学校のころ、かわいがっていたネコが良くボクの布団にもぐりこんでいたのを思い出す。ネコはボクの体にぴったりとよりそい、時々くすぐってくる。

 

 ……ネコ? にしては大きいか? 今のボクは成人しているから……こんなに大きいネコがいるというのか? おかしい……だが、確かにその「ネコ」は存在している。

「おい……」

「おい……じゃねぇよ。ちゃんと男の子として反応しているんだから最後までヤったらどうよ?」

「ちげーよ。それは女の子に反応している……わけではない」

「……ふーん」

「こ、こら! さわさわするなよ!」

「ん?」

 クソが……。またコイツはこういうふざけかたしやがって!

「なぁ佳奈……なんでお前はボディーガードのボクをそういじるんよ」

「え? 面白いから」

「つまんねぇよ」

「……そんなこと言っていいの?」

「断然いいにきまっているね!」

「今日私お嫁に行っちゃうのに?」

「は?」

「ラストチャンスでも?」

「はぁあ?」

「今日ね……私、婚約者とチャペルで挙式なの」

「マジ?」

「超マジ……だから、護衛たのみますわ」

「結婚したいの?」

「したくない……」

「じゃ、行かなきゃいいじゃん」

「それは……式自体は行きたいから……晴人には一緒に来てほしい」

「報酬は?」

「ひょっとしたら? 昔の君に戻れるかもよ? じゃだめかな?」

「ボクは、昔の佳奈に会いたいだけだ……」

「なら決まりね!」

「よくわからん……ま、行くよ」

 このお嬢様である八海佳奈が考えていることは良くわからないけど、生きていくには稼ぎもいる。それに……やっぱりどんなに昔の女子高生の佳奈と違っても、同じ顔の彼女の頼みを断るのはつらかった。

「ふふふ、晴人来てくれるんだ……なら、オシャレしちゃおう」

「……普段着で……いや、庶民の服でヨロシク。仕事……ふやさないで……」

 ……自動運転の車に乗り込む。どれだけ走っただろうか……。

「なぁ……この車どこに向かっているん?」

「とある私立高校だよ? あー楽しみ!」

「チャペルは?」

「あるよ? 校内に。そこで結婚するんよ」

「わかる……わかるけどさ……オレがききたいのは」

 ……なんで結婚したくないのに式にそんなにゴキゲンでチャペルに向かうか、なんだが。

「お忍びだからね……。目立つところじゃないんだ。相手気にならないの?」

「そう、どんぐらいヤなヤツなわけ?」

「良いやつだよ……協力してくれているし」

「結婚したくないんだろ? なんで式にでるかね?」

「……いまは秘密……」

「なぁ、お前の式って、格好の襲撃イベントだから襲おうかなって考えているヤバイ人達とかいないよね?」

「え? いるにきまっているじゃん」

「…………はぁ。ねぇ、行くのやめない?」

「危険だから結婚式は最高なんよ!」

「ロマンチックさを普通求めない?」

「デンジャラスだから……最高にロマンチックなの!」

「……お前のいうことはよくわからん」

 ……佳奈は楽しげだ。

「ね、私きっと暴漢達に襲撃されるじゃん?」

「あ、ああ」

「助け終わったら……言って貰いたい台詞あんだけど」

「何?」

「……危険は去った……だがボクはもっとデンジャラスだぜ!」

「は?」

「格好よくない?」

「なんで、ボクがデンジャラスなんだよ!」

「イイから……言ってよ?」

「言わなきゃだめ?」

「約束だよ?」

「ま……いいけどさ……」

「よし! それじゃあ張り切って暴漢に襲われにいきますか!」

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