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3.幼馴染み、リドル・アークマン。

ほのかに香る、ツンデレの気配(









「姫――アリスから話は聞いているよ。なんでもキミは妹の窮地に颯爽と登場し、不思議な力を用いてデーモンを討伐したらしいね」

「え、ま……まぁ、そうなりますけど」



 ――拝啓、天国の母さん。

 ボクはいま、どう考えても身分違いの相手と対話をしています。

 ガリア王国騎士団の副団長といえば、世界最強と名高い剣士の一人だった。田舎生まれというレッテルを自らの力で振り払い、現在の地位を確立してみせた豪傑。

 それがまさか、このように美人な女性だとは思いもしなかった。そして、



「そんなキミには、是非とも今回の作戦に協力してもらいたい!」

「え……?」




 もう一つの想定外。

 ボクはまさかのまさか、騎士団の一員として人に就くことになったのだった。







「どう考えても、分不相応だよ。……どうしてこうなった」



 ボクはひとまず、支給された武器を確認しながらそう呟く。

 誰に向けたわけでもなく、本当に心の底からの本音に違いなかった。周囲を見ればそこにいるのは、ボクの胴体ほどの腕の太さをした人だったり、いかにも強力な魔法を使いそうな人だったり。とにもかくにも、本気で騎士団を目指している腕自慢ばかりだった。


 そんな中で自分は、一番軽い短剣を手にして棒立ちしている。

 それでも、こうなったら少しでも前向きに考えよう。そう思うのだった。



「ボ、ボクだってデーモンを倒したんだ! だったら、その資格くらい――」

「ねぇよ。どうして、雑魚クレスがここにいるんだ」

「え、その声はもしかして……リドル?」



 そして、自らを鼓舞するように言うと。

 背後から聞き覚えがあり過ぎる、苦手な声が聞こえてきた。



「副団長様からの推薦だか知らないが、どうしているんだよ。……クレス」



 振り返るとそこには、腕組みをして眉間に皺を寄せる幼馴染み。

 恰幅の良い身体に、緑色の髪が特徴的な少年。彼の名は、リドル・アークマン。

 姿を消したボクの父と彼の両親は仲が良かったらしく、幼くして孤独だったボクは彼の家の世話になることが多かった。もっともリドルからの扱いは、完全に舎弟扱いだったが。

 そんなこんなでボクは正直、彼のことが苦手で仕方なかった。



「いや、何というか。……流れ、かな」

「相変わらず、流されやすいのな。そんなだから、他の奴らに馬鹿にされるんだ」

「う、ぐ……」



 リドルはボクを見下すようにしながら、大きくため息をつく。

 そして、こう言うのだった。



「まぁ、今さら引き返すのは無理だな。だったら――」



 思い切り、ボクの額にデコピンをお見舞いしながら。




「精々、俺の後ろで怪我しないように震えてな!」――と。




 こちらをとかく馬鹿にした口調で。

 彼はそう言ってから、どこかへと去ってしまうのだった。



「……い、てて」



 ボクは一撃を喰らった額を擦りながら、少しだけ肩を落とす。

 そして、ふと昔を思い出して呟くのだった。





「どうして、こんな関係になってしまったんだろう……」





 ボクとリドルは、俗にいう幼馴染み。

 今でこそどこか取っ付きにくい間柄だが、最初からそうであったわけではない。たしか何かのキッカケで、リドルはボクのことを対等以下に扱うようになったのだ。



「思い出せないけど、いまは考えても仕方ないか」



 そろそろ、集合時間だ。

 ボクは気持ちを切り替えてから、移動を開始するのだった。



 


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