2.王国騎士団。
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「あれ、どうしたんだろ。……広場に、人が集まってる」
――翌日。
ボクが街に出ると、ちょっとした騒ぎが起きていた。
街の中心にある円形の広場、その真ん中。そこに何やら、人だかりができている。自分より大きな大人ばかりのそれは壁のようで、奥で何が行われているのかは見えなかった。
しかし、何やら人々が色めき立っているのは分かる。
「……なんだろ?」
そうなってくると、さすがに興味がそそられた。
ボクは目の前の男性二人組が話す内容に、そっと聞き耳を立てる。すると、
「いや、まさか王国の騎士団がこんな場所で兵を求めるとはな」
「しかも簡単な魔物討伐で、金貨十枚だってよ!」
そんな声が聞こえてきた。
王国騎士団というのはその名の通り、ボクの暮らしているガリア王国直属の兵士たちだ。王家の勅命を受けて行動し、人々の暮らしを守っている。とりわけ若い冒険者の羨望の的であり、この街からも入団希望者が毎年のように王都へと向かっていた。
もっとも、あまりに狭き門であるため泣く泣く帰還する人が多いけれど……。
「そんな騎士団が、こんな辺鄙な土地で団員募集……?」
ボクはしばし考えてから、思わずそう口にしていた。
騎士団がこんな街にやってくることも珍しいが、まして助力を求めるなんて驚きしかない。いったい何が起きているのか、という疑問が先に立った。
だが、またとない機会であるのも事実。
腕っぷしに自信のある若者や、冒険者は我先にと手を上げているようだ。
「他に我こそは、という者はいないか!」
そして、その募集もそろそろ終わりを迎えるらしい。
さすがにボクは場違いな気もしたので、いそいそと広場を後にしようと……。
「はいはい! ここにいる男の子が、入りたいって言ってます!!」
「……へ? キ、キミは――」
踵を返した時だった。
何やら聞き覚えのある少女の声がしたかと思えば、思い切り服の裾を掴まれたのは。驚きつつも相手を確認すると、やはりそこにいたのは――。
「アリスさん……!?」
「えへへ、昨日振りですね! クレスさん!」
昨日、共にデーモンを倒した彼女だった。
天真爛漫に笑ったアリスは、ボクのことを引き連れながら器用に人の隙間を縫って進む。あっという間にボクは広場の中心に連れ出され、騎士団の皆様の前に立たされていた。
重厚な白の鎧を身にまとった彼らが、一糸乱れず並んでいる様は壮観だ。
だけど、いまはそんなことを考えている場合ではなくて――。
「ちょ、ちょっとアリスさん!? いったい何を考えてるんだ!!」
「お姉ちゃん! クレスさん、連れてきたよ!!」
「――聞いてない!?」
慌てて抗議しようとしたが、アリスは意にも介さず誰かを呼んでいた。
ボクは思わずツッコミを入れていたが、それは喧騒の中に溶けていってしまう。そして呆気に取られているうちに、アリスさんの声を聞いて誰かがやってきた。
「おや、その少年が噂の彼かな? ……姫」
「そうだよ!」
「え、え……?」
現れたのは、どことなくアリスと似た面影のある女性。
他の騎士団員とは異なる鎧を身にまとった彼女は、微笑みを浮かべて少女に訊ねた。するとアリスはまた、満面の笑みを浮かべて頷くのだ。
いったい、どういう状況なのだろうか。
自分の置かれているそれを必死に呑み込もうとしていると……。
「昨日は、私の大切な姫の命を救ってくれたそうだね」
「…………姫?」
女性が、愛おしげにアリスを見ながらそう言った。
その言葉を聞いて、ボクはようやく冷静になって相手の素性を理解する。
「あ、もしかして……アリスさんの、お姉さんですか?」
「その通り。では、改めて名乗ろうか」
ボクは少しだけ落ち着いて、そう訊ねた。
しかしすぐに、相手はさらなる爆弾を投下するのだ。
「私の名はシリカ・コペルニード――」
自身の後方に控えている団員たちを示しながら。
「ガリア王国騎士団、副団長だよ」――と。
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