1.その夜、コペルニード家にて。
ここから第1章。
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「本当に凄かったなぁ、クレスさん! えへへ!」
クレスに命を救われた少女――アリス・コペルニードは、帰宅後の自室で枕を抱え、ベッドの上で蕩けた顔をしていた。自分の危機に颯爽と現れ、来る敵を退けてみせたのだ。
そのような少年の登場に、心が躍らないほどアリスは大人ではない。
彼の一つ上の十六歳は、まだまだ夢見る乙女というやつだった。
「おやおや。我が家の姫は、なにか良いことがあったらしい」
「お、お姉ちゃん! 帰ってきてたの!?」
すると、そんな彼女に声をかける人物が現れる。
アリスの視線の先には、引き締まった身体つきをした女性だった。少女に姉と呼ばれたその人は、妹と打って変わって凛とした印象の顔立ちをしている。後ろで一つに結んだ赤い髪に、アリスと同じ色をした鋭い眼差し。
今ほど帰宅したのだろう。
出で立ちは旅人のそれであり、腰には剣を携えたままだった。
「ふむ、ずいぶんな口振りだ。これが反抗期というやつかな?」
「違いますー! でも、ノックもせずに入らないでくださいー!!」
「ははは、それは申し訳なかったな」
「もう! 絶対に悪いと思ってない!」
アリスは抗議して頬を膨らせるが、姉は飄々とした態度でそれを躱す。
おそらく、これがこの姉妹にとっての普通なのだろう。だがそんな折に、アリスはふと小首を傾げて訊ねるのだ。
「でも、どうしてこの街に。お仕事はどうしたの?」
「そのことか……一応、ここへは仕事で来たんだけどね」
「仕事で、この街に……?」
「あぁ、すぐに子細は広まるだろうがね。ところで――」
すると姉はそう返答しつつ、このように訊き返す。
「先ほど姫が口にしていた『クレス』という少年は、何者かな……?」――と。
口元に笑みを浮かべながら。
興味が尽きない、無邪気な乙女のように目を輝かせて。
アリスの姉――シリカ・コペルニードは、クレスの話に耳を傾けた。
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