1.【加速】との違い。
とりま能力のチュートリアルです(*'▽')ノ
応援よろしくです!
「でも【倍速化】って、どんな力なんだろう……?」
儀式を終えて、みなが帰路に就く中。
ボクは一人教会の隅で、自分に与えられたスキルについて考えていた。女神様はこれが特別な力であると語っていたけど、使い方らしきものは教えてくれていない。もっとも名前から察するに、物の速度を速めるということか。
でも、それなら【加速】と大差ないはずだ。
それでは特別、とは言わないだろう。
「うーん……少し、どこかで試してみようかな」
そこまで考えて、ボクはそう決断した。
実際に戦闘で使ってみれば、他のスキルとの差も分かるだろう。というわけで、決まれば誰かに見つかる前に行動だ。
ボクはそそくさと移動を開始し、街外れの森へと向かうのだった。
◆
ボクの住む街の外れには、低級の魔物が出没する森がある。
基本的には駆け出し冒険者が新しい武器、防具の性能を確認するための場所だった。つまりボクのような弱い人間でも、怪我をするくらいで済む、ということ。
もっとも、真剣に挑まなければならない、という前提だけど。
「えっと、まずは手頃な棒を……あった!」
そんなこんなで、ボクは森の手前で程良い棒切れを拾った。
ひとまず、これを武器代わりにしてみよう。
「次は魔物がいてくれたら良いんだけど、少し歩こう」
ボクは棒切れを剣に見立てて振り回しながら、森の中を進んでいく。
すると、間もなく小型スライムの群れを発見した。
「よし、この相手ならボク一人でも!」
木陰から覗き込み、呼吸を整える。
そして棒切れを握り締めて、スライム三体の前に躍り出た。ボクを認めた彼らは驚いたように跳ねた後、各々別の方向に逃げていく。
その内の一体を追いかけ、ボクはさっそく【倍速化】を使用した。すると、
「お、わ――!?」
想像以上の速度で身体が動いてしまい、棒切れを地面に強か叩きつける。
ガツン、という音と共に手が痺れてしまった。――その間にスライムは逃げてしまう。ボクはそれの背中を見送って、深くため息をついた。
そして、自身の身に起きた変化を確かめる。
「なんだろう。でも、加速とはまた違うような……?」
感覚としては、加速とは大差ないのではないかと思えた。
だけど、何かが違う。そう思ってボクは改めて、棒切れを振り回してみた。
「……あれ、もしかして?」
そこで、僅かな違和感に気付く。
ボクは先ほどと同じ力で振っているはず。それなのに――。
「きゃああああああああああああああああああ!!」
――と、そこまで考えた時だった。
森の中に甲高い女の子の声が、響き渡ったのは。
「え、なんだ……!?」
ボクは思わず身を固くするが、すぐに非常事態だと理解する。
そして、
「……迷っている場合じゃない!!」
そう自分に喝を入れ、森のさらに奥へと駆けるのだった。
面白かった
続きが気になる
更新がんばれ!
もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより評価など。
創作の励みとなります!
応援よろしくお願いします!!