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おうじさまは このくにの あたらしい おうさまに なりました。
あたらしい おうさまの となりには いつも こしのまがった くろいふくを きた おばあさんが すわっていました。
あたらしい おうさまは あたらしい たいようの そそぐ このくにのために、たくさんの いくさを しなければなりませんでした。
あたらしい おうさまは また いくさに でました。
おばあさんは いま ふたたび、いのり、あたらしい おうさまの かえりを まちつづけました。
きせつはめぐり、あたらしい おうさまに けらいが ふえました。
あたらしい おうさまのくには にしのやまの むこうにある ちいさな くにと いくさを することになりました。
あたらしい おうさまは にしのやまの むこうにいる おうぼうな おとこと どうしても たたかわなければ なりませんでした。
あたらしい おうさまにとって にしのやまは とても だいじな ばしょだからです。
あたらしい おうさまは みずから いくさの せんとうに たちました。
こむぎばたけを ふまないように、にしのやまのむこうに たいれつを くんで むかいました。
けわしい にしのやまで たくさんの へいしが たおれました。
たくさん くろうをして、あたらしい おうさまは ようやく けわしい やまを こえました。
けわしい やまの むこうにいた、おうぼうな おとこは、おおきな やりをもった おおきな おとこをしたがえていました。
あたらしい おうさまは おおきな おのをもった おおきな おとこを したがえていました。
やりをもった おとこと おのをもった おとこが たたかいました。
おのをもった おとこが かちました。
「わたくしは あなたと なかよくしたいと おもっています」
あたらしい おうさまは、おうぼうな おとこに いいました。
しかし、おうぼうな おとこは ことわり、がけの うえから とびおりて しんでしまいました。
あたらしい おうさまは かなしみ、いくさを やめました。
いくさは おわりました。
あたらしい おうさまは おうきゅうに もどりました。
こしのまがった おばあさんは あんしんして、おおきな おのをもった おおきな おとこをつれて、もりのおくへと かえっていきました。
おうきゅうは もとのとおりに うつくしい すがたを とりもどしました。
まいにち すばらしい おんがくが かなでられました。
あたらしい おうさまの となりには、となりのくにからきた、うつくしい おきさきさまが すわるようになりました。
あたらしい おきさきさまは、すぐに、あたらしい おうさまのことが だいすきになりました。
なぜなら、あたらしい おうさまが、まいにち あたらしい おきさきさまに はなをおくり、あいをつたえたからです。
さて、あたらしい おうさまは ときどき にしのやまに やってきます。
たくさんの けらいと いっしょに、けわしい やまで くらす ひとびとに あいにいきます。
ひつじかいのおじいさんの もとにも いきます。
ひつじかいのおじいさんは ふるい バイオリンを もっていて、ときどき こむぎばたけの まんなかで うでまえを ひろうするのです。
ひつじかいのおじいさんのバイオリンは おかのむこうまで ひびきました。
むらのこどもたちが どこから ともなく やってきて、ひつじかいのおじいさんの まわりを ぐるぐると まわっています。
あたらしい おうさまが おかのむこうから うまにのって、てをふっています。
「やあ、また きたよ」
「いらっしゃい、ぼうや」
あたらしいおうさまの まわりを ぐるぐると いぬが まわっています。
にこにこと わらっているのは ひつじかいのおじいさんのことが だいすきな おくさんです。もちろん ひつじかいのおじいさんも おくさんのことが だいすきです。
きょうも ひつじかいのおじいさんは おんがくを かなでています。
おわり