【登場人物】

男勝りで元気な女の子。

無口で声の小さい女の子。

おしとやかで落ち着いた性格の女の子。

死後地獄に落ちることが確定している女の子。
【5年3組 教室】

「突然なんだけど、私、学校の先生になりたいんだよね」
「いきなり変なこと言うわね。どうしたの?」
「そうよ。自堕落に生き自堕落に死ぬしかないせらちゃんが、未来への展望を語るなんて」
「酷い評価だな」
「季節外れの雨でも降りそう......」
「雨に季節外れとかないだろ」
「無駄話はいいから私の話聞いてよ〜!」
「ごめんごめん。突然先生になりたいなんてどういう事なの?」
「うん。この前、ここでは絶対言えない悪い事をした時先生に怒られたんだけどさ」
「何したんだ」
「それは口が裂けても言えないし、口を裂かれる拷問を受けても言えないよ!」
「聞いたことない表現だな」
「で、話を戻すけど。叱られてる時に私は思ったんだ」
「反省したんだね......」
「先生みたいな、自分より弱い者の上に立てる仕事がしたいなって」
「反省ゼロかよ」
「せらちゃんに先生なんて無理じゃない? 人の上に立つ器じゃないし」
「酷い評価だ」
「そんなことないし!」
「せらちゃん、宿題すらやってこないズボラだし......」
「うっ......」
「ぐうの音も出ないな」
「でも大丈夫、せらちゃんは悪くないよ」
「まこちゃん......」
「へぇ、優しいわね」
「悪いのは全部、親の教育」
「そっちの方が言っちゃダメだろ」
「うん!!!!!!!!」
「声を大にして同意する内容か?」
「じゃあさ......私たちが生徒役をやってあげるから、せらちゃんが試しに先生役をやってみたら......?」
「ロールプレイってことね」
「良いの? やるやる!やるラトホテプ!」
「聞いたことないギャグだな」
「でも本当に出来るのかなぁ。せらちゃん前に先生に『うちの犬の方が賢いよ』って言われてたよね」
「そんなこと言われてたのか」
「なせばなる。そう信じて生きてきた」
「急な根性論」
「それじゃ、今日の休み時間のたびに私が色んな教科の先生やるから、みんなは生徒役やってね」
「休み時間も授業......」
\キーン コーン カーン コーン/

【一時間目へ続く】