形式
上下関係が分かったところで、続いては、実際の法令がどのような形式や構造をしているかをみていきましょう。
まず、法律全体の形式は大きく分けると、以下のような順番に並んでいます。
公布文、法律番号、題名、(目次)、本則、附則、別表等、署名
本文と呼べるのは題名から別表等までの間のもので、ほかは附属しているものです。
公布文は単純に法律を公布したという意味を成す文章です。
法律番号は、元号と日付、それに番号から成ります。
元号は平成や昭和や令和のようなものですね。元号が年の途中で改元された場合はその時点で番号は1に戻ってつけられることになります。
日付は暦年、つまり1月1日から12月31日までを1つの期間として、いつ公布されたかで日付がつけられます。
ただし通常は省略されることが多いです。
番号はその年の公布した順番に1からつけられます。
これらの法令を引用する際には、どのものかということを明記するためにこの法律番号を併せて記載します。
例えば民法は明治二十九年法律第八十九号。労働基準法は昭和二十二年法律第四十号のように書かれます。
ちなみに、公布されたものが法律ならば法律番号、政令ならば政令番号、省令ならば省令番号などのように、それぞれの番号で書かれることになります。
題名はその法律のそのものの名前です。
先ほどの例でいえば、民法や労働基準法といったものがそれに該当します。
ただし、一部題名が定められていないものもあります。
有名なものでいえば独占禁止法こと昭和二十二年法律第五十四号です。
このように題名がつけられていない場合であっても何らかの名前が付けられなければ不便なものです。
そのときに付けられるのが件名と呼ばれます。
件名はおおよそ公布文から引用したものを題名の代わりとして使うもので、独占禁止法の場合は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律とされます。
他にも、明治十七年太政官布告第三十二号の爆発物取締罰則のように件名が用いられる例があります。
目次は法律の本則内で条数が多い場合に設けられるものです。
なので条数が少ない場合には付けられないこともあります。
本則中で章節などに区切られた場合に付けられます。
付けられているものとしては、先ほど挙げた例であれば、民法、労働基準法、独占禁止法など。
付けられていないものとしては爆発物取締罰則などがあります。
本則、附則、別表等は項を改めて行うことにしますので、ここでは省略しましょう。
署名は、大臣による署名を指します。
法律、政令であれば主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が併せて署名します。
この併せて署名することを連署といいます。
主任大臣が複数人いる場合には、署名は建制順によっておこなわれ、書くべき全大臣が署名を終えた後に連署することとなっています。
ただし、内閣総理大臣が主任大臣となっているものについては主任大臣の位置に内閣総理大臣の署名を行うこととなるため、連署は行われません。
なお、建制順というものは、大臣の順番を決める際によく用いられている慣習です。
これは国の行政組織を定めている国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)の第3条に記されている別表第一に記されている順番となります。
2023年2月18日時点では、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛相の順番となります。
ただし、これをもって各省の間に上下関係があるというわけではないので、そこはしっかりと押さえておきましょう。
また同様に、各省内の内部部局の建制順も、各賞の組織令として制定されいている政令の順番となりますが、これも先と同じくそれぞれが上下関係があるというわけではないです。
これらのような法令の基本形式が決められておりますが、特に人事院規則に関しては、一部例外となります。
人事院規則は法令番号として定められるものが他の法令とは異なり、規則の分類によって定められることと決められています。
なので人事院規則を参照とする場合は、少し注意が必要です。