表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

どうしようもないほど下半身が腐っている私は、一発逆転をかけて投資系外資銀行の面接を受けることにした。(序)

「次の方、どうぞー」


 その一言と同時に私の心臓のドクドクと強い鼓動が高鳴り始めた。前に出て、面接官の目の前に立ちすくむ私。頭は真っ白である。


「それではお座りください」


 そう言われたって、そうできない事情がこっちにもある。なぜなら、私の下半身がどうしようもないほど腐っているせいで座ることができないからだ。しかし面接官の言うことに歯向かってしまえば内定がもらえないことは必至。俗に言う「詰み」である。それでも私には「投了」することなんて、たとえ命の灯火が消えたとしてもできない。


「立ったままでも、いいですか?」


 頬に微かな笑みを浮かべながら、できるだけ不自然さを感じさせないように提言をしてみる。まるで世の中にある当たり前の二択の片方を提案したかのように。


「ダメです」


 あまりに冷徹であった。眼前の表情が弛むことは決してなかった。一個人の意見を尊重して、立ったまま面接を行うという優遇措置を行ってくれるなどという未来は、私の単なる傲慢さが生み出した妄想に他ならなかったのだ。


 一発逆転。誰もが夢見るその景色は、限りなく誰も手に入れることはできない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ