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第23話 暗闇からの脱出

面白い、もっと読みたいと思ってくださった方は、感想や評価、またはブクマなどをしてくださると作者がとても喜びます。

 合成スキルを使って部屋を脱出した私は、周囲の確認をする。


 どうやらこの部屋は一番奥の部屋だったらしく、他にもいくつか部屋があった。

 他に部屋の扉にも鍵が付いている事から、ここは牢屋として使っているみたいだ。

 でも人が居る感じはしないから誰も居ないっぽい。いや居たら居たで困るんだけど。

 長居は無用と進んで行くと、階段が見えてきた。


「やっぱり地下室だったんだね」


 慎重に足音をたてないように上ると、また通路に出る。

 通路にはいくつか扉が見える正面に一つ、左右に二つずつだ。


「多分正面が出入り口かな? でもそれだと多分門番みたいなのがいるよね?」


 私を逃さないためだけじゃなく、誰かが入り込まないように見張りは必須だろう。

 あとは見張りの交代要員が居る部屋もありそう。


「正面から出るのは絶対悪手だよね。だとすると他の部屋の窓から逃げるのが得策か」


 私は一番近い部屋の扉に耳を当てて、中から人の声や音が聞こえないか確認する。

 そして音がしない事を確認してから、少しだけ扉を開け中の様子を確認する。

 よし、人は居ない。


 部屋の中は真っ暗だったので、扉を開けて中の様子を見る。


「ここは……物置?」


 そこにはいろいろな物が乱雑に置かれていた。

 よく分からないものから、薬草やポーションなどの商品まで様々。

 中には白い皮鎧や装飾の綺麗な短剣、それに魔法の袋まで……


「って、これ私の装備じゃん!」


 うおおー! 盗られた装備発見!

 私はすぐに皮鎧と短剣を装着する。

 幸い皮鎧はベルトで固定するタイプだったので、フルプレートの金属鎧みたいに装着に手間はかからない。


「あとは魔法の袋を装着して完璧!」


 ふっふっふっ! 装備を取り戻した私は強いぜ! ボールスライムにだって負けはしないんだからね!

 ……うん、普通に怖い人達には勝てる気がしません。


「装備は戻ったけど戦うのは無謀だよね。となると予定通り逃げるか。窓は……ないか」


 窓を探してみるけれど、どこにもそれらしいものはなかった。

 まぁ部屋の中が真っ暗だったからある程度そんな気はしてたけどさ。


「となると何か使えそうなものは……」


 私は部屋に乱雑に積まれた荷物を見る。


「暗いから何が使えるのか分かんないなぁ」


 通路から明かりを持ってこようかな?

 そう思って通路に近づいた私はヤバイ音を聞いてしまった。


「さて、お嬢ちゃんは今頃ビービー泣いてる頃かなー」


 やば! 見張りが来た!


 私は慌てて扉をそっと閉じる。

 だ、大丈夫だよね? 閉めたのバレなかったよね!?

 幸い、見張りは私に気付くことなく階段を下りて行った。

 これは早い所別の部屋を探した方が良いね。


「なんだこりゃ! 扉が無ぇ!?」


 ってしまったぁぁぁぁぁ! 扉が無くなってるんだからバレるに決まってるじゃん!

 あーっ! 扉じゃなくて蝶番とかに合成しておけばよかったー!

 なんて言ってる場合じゃない、すぐに逃げないと!


「脱走だー! ガキが脱走したぞ!!」


 しかし見張りの行動は迅速だった。


「なんだと!?」


「ガキが!?」


 ドアが開く音がして、通路がドタドタと騒がしくなる。


「旦那が帰ってまだ間もない! 外に逃げ出す時間はないだろうからどこかの部屋に隠れている筈だ! しらみつぶしに探せ!」


 うわぁー! 完全にその通りですぅー!!

 行動が的確過ぎません!?


 ヤバイヤバイヤバイ! ドアをガチャガチャ開ける音が聞こえてくる。

 このままだとこの部屋の番はすぐだよ!


「あわわわわっ ええと、合成、でも何を合成すれば……」


 この暗い部屋じゃ合成する為の素材を確認なんて出来ないし、下手に合成して変なものが出来たら捕まる前に私が死にかねない!

 確実に安全で逃げ出す為に使えるものは……


「ああもう! 逃げ出すための窓さえあればこの部屋の荷物を足場にして逃げれるのに!」


 なんでこの部屋の壁には窓が無い訳!?


「ん? 壁?」


 そこで私はある考えに思い至る。ドアが出来たのなら……


「出来るか? いや考えてる時間はない。やるしかない!」


 覚悟を決める間もなく私は部屋の壁に向かう。

 けれど部屋の中は大小様々な荷物まみれで床が埋まっていた。 

 どうする!? こんなのどかしてる暇もないよ! それに明らかに重い物もあるし!


「そうだ! 魔法の袋!」


 私は魔法の袋の口を下にして持つと、邪魔な荷物を上から魔法の袋にいれていく。


「よし! これなら重さも関係ない!」


 とにかくまっすぐ壁に向かって荷物を仕舞っていく。

 そしてなんとか壁にたどり着いた。


「一か八か、えっと、この手に持った壺に壁を合成!」


 そして一面の壁が眩く光ったその後には……


「見えた!」


 真っ暗な森の姿が見えていた。

 ここは町の中じゃなくて森の中!?


「なんだ!? 今何か光が見えなかったか!?」


 やばっ! 合成の光が扉の隙間から洩れた!?

 私はすぐに森の中に飛び込んでいく。


「空が暗い! もしかして今は夜!?」


 暗い森を見た私は、初めて異世界に来た時の事を思い出す。


「もしかしたら魔物に襲われるかもしれない……でも!」


 私は恐怖を押し殺して森の中を突き進む。

 大丈夫! 森での歩き方はメイテナさんに教わった!


「それに襲われても今の私なら鎧と盾で防げる! 反撃の手段もある!! 使い方も教えてもらった!」


 なら、躊躇う理由なんてない!

 追っ手の声を後方から聞きながら、私は夜の森へと姿を消したのだった。

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