第194話 エリクサーの材料を探せ!
「エ、エリクサーの材料ぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
精霊達が集めてきてくれた材料を合成したら、なんとエリクサーの材料が出来上がってしまった。
「ニャンだニャンだ一体? ニャにがあったのニャ」
「エ、エエエエエリクサーの材料が出来ちゃった!」
「ニャに? …………ニャにぃぃぃぃぃぃぃぃっっっ!? そそそそれはマジなのニャ!?」
「マジなのニャ!」
「ニャのアクセントが甘いのニャ」
「急に素に戻らないでよ!」
「本当にエリクサーの材料なのニャ?」
「うん、鑑定先生のお墨付きだから間違いないよ」
「ニャンとまぁ。トンデモねぇモンが出来ちまったのニャ」
「といってもまだ材料の一部だけどね。でもそっか、実在するのなら他の材料も検索すれば出来ちゃうのか」
ムクムクと湧いた興味から私はエリクサーを作る為に必要な他の材料を検索で調べる。
すると表示されたのは『ムリクスの根』という素材と『アブツンの実』という二つのアイテム、そして『ロストポーション』が必要との事だった。
「ムリクスの根とアブツンの実かぁ。エリクサーの材料だけにそう簡単に見つからないだろうなぁ」
ロストポーションは自力で作れるからこっちは何とかなりそうだけど。
「まぁその内見つかったらラッキーくらいの気持ちでいよう」
「それがいいのニャ。今のご時世にエリクサーニャんて作ったら面倒事の元だニャ」
「そうだね。今は他の素材の合成と解体をして素材の鑑定をする方が先だね。そうだ、残りの素材の複数合成も試してみよう! 合成! そして鑑定!」
『ムリクスの根:エリクサーの材料、単体では強烈な消毒効果のある絞り汁となる』
『アブツンの実:エリクサーの材料。果実だが全く甘くない。非常に高い抗菌作用があり、病気や傷の悪化した獣が治療の為に食べる天然の薬』
うーん、なんというかこの……
「ええとさ、よくガチャガチャやゲームのアイテム集めとかで、ずーっと集まらかなったレアアイテムをようやく集め切った後ってさ、何故か今まで出なかったのが嘘みたいに出るようになるよね」
「ニャんの話ニャ?」
私はフイメの芽とムリクスの根、そしてアブツンの実を用意すると、更にロストポーションを……あ、ロストポーションの材料ないや。
この国だと薬草の植生が違うだろうしどうしよう。ダメ元で検索で調べてみるか。
「この辺で手に入るロストポーションを作るのに必要な合成材料はっと……あったわ」
検索で調べてみたらロストポーションの合成に必要な材料を合成する為の素材が表示される。
「うん、精霊達が集めてくれた材料にあるね」
合成したアイテムを解体して鑑定先生でチェックするとしっかり必要な素材があった。
「じゃあこれらを合成していって、最後にロストポーションに合成!」
何か合成スキルってパズルゲームみたいだね。
「それじゃあこの四つのアイテムを合成!」
すると、眩い光と共に一本のポーションが出来あがった。
「鑑定」
『エリクサー:万能の薬、あらゆる傷、病気を癒し欠損した部位も修復できる。また痴呆症などにも効果がある。死後ごく短い時間なら蘇生も可能』
「蘇生!?」
死人も生き返るとかマジで究極のアイテムなのでは!?
「死後ごく短い時間なのが辛うじて自重してるって感じだなぁ」
誰が自重してるんだって話もあるけど。
「さて、どうしたもんかな。これ」
勢いで作ってしまったけれど……
『合成スキルが成長しました。品質超過が解放されました』
おっ、ここで合成スキルも成長かぁ。
そりゃそうだよね。エリクサーなんて超レアアイテムを作ってスキルが成長しないとかありえない。
「どういう能力なんだろ?」
『品質超過:最高品質のアイテム同士を合成すると限界を超えて極限品質に上がる。極限品質のアイテムは合成素材なら確定で最高品質に、アイテムなら効果を更に1.5倍にできる。極限品質は自然界には存在せず、品質超過でしか作り出せない』
「おお、なんか凄いのきた! 最高品質より上とかソシャゲの新レアリティみたいだよ。しかも自然には存在しない品質とかかなりヤバそうだよね」
お店で売る時はうっかり品質超過した品を出さないように注意しないと。
売るにしてもその場で使い切りとかにした方が良いね。
でも品質以上の性能とか、かなりワクワクするよね。
『合成スキルの全ての機能が解放されました。おめでとうございます。良いスキルライフを』
「お? そうなの?」
品質超過の性能に驚いていると、まさかのスキルの機能の完全解放のアナウンスまで流れて来た。
「そっか、これで完全に合成スキルを使えるようになったんだ」
そう考えるとなんだか感慨深いなぁ。どんどん出来る事が増えていって便利になっていって。まるでゲームのレベルキャップ解放みたいでちょっと楽しかったんだよね。
「でもこれで最後と思うとやり切った感でちゃってちょっと寂しいな」
ゲームでもなんでもできるようになった後よりも、絶妙に足りない所を試行錯誤するのが楽しかった記憶がある。
「成長と言えばこれもそうか」
私は魔法の袋から後継者の宝珠を取り出す。
「これも奇妙なアイテムだよね。他の素材には合成できずに特別なアイテムとだけ合成できるなんて……ん? 特別?」
ちらりと傍に置かれたエリクサーを見る。
「後継者の宝珠にエリクサーを合成」
うん、つい魔が差してしまったんだ。
だってほら、ゲームとかでもスタート直後からあからさまに入れない鍵のかかった扉とかあったら、それっぽい鍵が手に入ったら速攻で開けに行くでしょ?
ピカァァァァァァァァァァァ!
予想通り後継者の宝珠が眩い光を放ち始める。
ってか眩しい! 滅茶苦茶眩しい!
「うわわわわわっ!?」
「カ、カコーッ! おニャーニャにをしたのニャー!?」
「エリクサーを後継者の宝珠に合成しただけだよー!」
「はぁー!? 後継者の宝珠にぃー!? ……いや待て、エリクサァァー!? 何をどこまでやったのニャおニャーは!?」
「それよりも眩しいよぉーっ!」
いままで以上に眩い光は周囲一帯を光で染めあげる。
「目を瞑っても眩しいー!」
「あーもー世話の焼ける!」
「ふがっ!?」
顔面に何かが覆いかぶさり世界が闇に包まれる。ニャットが庇ってくれたらしい。
それでも手の平の上から放たれる何かの感触がいまだに光が静まっていない事を感じさせる。
どれだけ時間が経ったのか、ニャットがそっと体を離す。
「ようやく収まったのニャ」
手のひらを見れば宝珠の光は殆ど消え、今ではわずかにぼんやりとした光が灯るだけだった。
「すっごい光だったわねー」
と、ミズダ子がのんきな声でやってく……あれ?
「なんかミズダ子、姿が変わってない?」
見ればミズダ子の姿は今までの透明な姿とは違い、うっすらと色がついて人間らしさが増していた。
「あらホント、私精霊王になったみたいね」
「へー、精霊王に……んん?」
精霊王? それって精霊の王様って事?
「今の光に含まれていた膨大な力を吸ったお陰みたいね! やったわカコ! これで私も王の仲間入りよ!」
「え、ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
もう色々起き過ぎて何から驚いたらいいのかわかんないよー!