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第171話 獣達を導きし巫女(実際の巫女はイメージと違う可能性があります)

 謎の廃墟に設置された祭壇のお陰で魔物から逃れる事が出来た私達。


「「「ごっはっん! ごっはっん!」」」


 ご飯の用意をしていました。……うん、動き回ればお腹が空くもんね。


「出来たよー!」


「「「わーい!!」」」


 皆にご飯を配ると、ついでに祭壇にもご飯をお供えする。

 するとやはりピカッと光ってご飯は消えた。


「うん、また力のあるものを捧げた事で、結界が広がったわね」


 モグモグとご飯を食べながら、ミズダ子が廃墟周辺に張られているらしい結界の状態を感じ取る。


「そんな事まで分かるの?」


「もっちろん! これでも大精霊ですから!」


 ああうん、大精霊だったね。ほっぺた一杯にご飯を詰め込んでリスみたいになってるけど。


「カコが供えた品に込められた力が結界の力になっているみたいね」


 マジかー、私のご飯が魔物を追い払ってるのか。


「この感じなら定期的に力のある品を供えれば結界を維持できそうよ」


 精霊のお墨付きだし、これならこの場所に籠城する事も出来そうだね。

 あー、でもお供え物に出来る品にも限りがあるから、長期間の籠城は無理か。

 むむむ、そうなると結局ニャット達の状況次第って感じだなぁ。

 とはいえ、私達に出来る事は他にないし、大人しくニャット達が事態を好転させてくれるのを待つしかないか。


 ◆


「何か来るニャ!」


 廃墟に籠城を始めてから数時間が経過し、晩御飯の準備をしていた時だった。

 周囲の見張りをしていた老猫達が謎の集団の接近を警告してくる。


「また魔物が来たニャ!?」


 再び魔物が襲ってきたのかと子猫達が尻尾を立てる。

 けれど、それは杞憂だった。


「アレはワッニ族だニャ!」


 魔物かと思ったそれは、ワニ型の獣人、ワッニ族だった。


「おーい! こっちだニャー!」


 子猫達がワッニ族に呼びかけると、ワッニ族も私達に気付いて廃墟にやってくる。

 見ればワッニ族達は皆ボロボロで、ついさっきまで戦っていたのは明らかだった。

 聞けばワッニ族も村を魔物に襲われて逃げて来たとの事。


「お前達、この辺りは魔物が多くて危ないワニ。もっと遠くに逃げるワニ」


 ワッニ族は魔物達の追撃を警戒し、私達にも避難する様に勧めてくる。


「心配いらニャいニャ。ここは肉神の巫女様の加護で魔物が入れない結界が張られているのニャ!」


「なんだってワニ!? それは本当ワニ!?」


「本当ニャ! 巫女様の祈りの力で魔物達が逃げ出したのニャ!」


 待て待て、勘違いされるようなこと言わないでよ。


「私の力じゃなくて、この廃墟に設置された祭壇の力ですよ」


「おお! 貴女は女神の巫女様!」


「本当だ! 巫女様だ!」


 私の姿に気付いたワッニ族は、大きく口を開けて私を巫女だ巫女だと言って騒ぎ始める。

 というか、でっかい口を開いて騒がれると結構怖いんですけど。


「巫女様の加護があるなら我々も安心ワニ!」


「巫女様、お世話になりますワニ」


 いやそもそも巫女じゃないんだって。

 などと私が苦言を呈するが、彼等は聞こえていないかのように巫女様巫女様とはしゃいでいたのだった。


 ◆


「リッス!」


「トッリ!」


「イッヌ!」


 そして気付けば増えていました。

 うん、あの後も色んな種族が逃げてきて、廃墟は沢山の人でごった返していたのである。


「狭いワン! もっと詰めるワン!」


「そっちこそもっと広がるトリ! トリ達の羽が折れるトリ!」


 まぁこんだけ人が居ればね、そりゃあ廃墟の中だけじゃ狭いよ。

 しかしあまり広がると結界の外にはみ出て魔物に襲われてしまう。なので、


「うぉおおおお! お供え物の追加出来たよ! 供えてきて!」


 結界を拡張する為にお供え料理を増産していたのだった。


「「分かったリス」」


「つまみ食いしちゃだめだよ!」


「「はーいリス」」 


 とにかく沢山料理を作り、結界を強化してその効果範囲を広げる。

 それが私達の選んだ選択だった。


「どのみち魔物の討伐が一段落しないとどの種族も逃げ続けないといけないものね。それなら一カ所に集めて管理した方が安全ってもんよ」


 そう言う訳で私達は廃墟周辺を拠点として行動することにしたのである。


「食料を採って来たワン!」


「果物を集めて来たトリ!」


 けれどこれだけの種族を守る結界を張っていては、合成で品質を上げれる品があっという間に枯渇してしまう為、食材探しと言う意味も込めて皆に協力を仰いでいたのである。


「よし『合成』!」


 ミズダ子に身を隠して貰いながら合成を行って最高品質にし、それを調理して祭壇にお供えする事を繰り返す。


「「「「ごっはっん! ごっはっん!」」」」


 そして皆のご飯も作る。


「ご飯美味しいワン!」


「凄いトリ!魔物が近づいてこないトリ!」


「魔物から逃げなくて済むリスー!」


「流石は巫女様ワニ!」


「「「「巫女様ばんざーいっ!」」」」


 なんて事を繰り返していたら、すっかり空は暗くなっていた。


「これだけ力のあるものを捧げれば、十分明日まで保つわ」


 ようやくミズダ子から十分な力を供えたと言われ、私は安堵して料理を終える。


「はー疲れた。あー、暫く料理は作りたくな……」


『合成スキルが成長しました。検索機能が解放されました』


 お? 久しぶりにスキルが成長した!?

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